3 ( ;_;)
ごめん。ちょっと、委員会長引くっぽい…
17時半ぐらいまでには行けそう
ほんとごめん
アイコンが私の寝顔…綾である。
ラインの返事を見て、大丈夫待っている、とタッチする。
身体全体がだるくて、主に下腹部が痛い。
じんじん、と静かに響くような痛み。
腰も心なしか痛い。
あんまりしたくないが、寝がえりを打って体勢を探るが中々楽になるものがない。
「名字さん、だいじょうぶ?」
「あ、だいじょうぶです。すみません」
「…もう、顔色すごく悪いわよ…あなた重いんだからあんまり無理しちゃだめよ?てか、薬飲みなさいよ」
「…薬嫌いです」
うえ布団をずり上げてそう言うと、保険医の先生は肩をすくめた。
「子どもじゃないんだから…先生今からちょっと会議出てくるけど迎えが来るまで寝てるのよ?分かった?」
「はあ、い」
この先生には入学式からお世話になっている。
私は入学式の日途中でぶったおれたからである。
それから私は月に何回か保健室にお世話になっている。
うう、こんなに重いのも久しぶり…うあ、だる。
うーん、この体勢腰が痛い…。
私は寝がえりを打った瞬間私は身体のすごいスピードで落下した。
…痛い!物理的にすごく痛い!
くう、こんなどんくさい私でも保健室のベットから落ちたことなかったのに!
とりあえず、起きなきゃ…だるさと戦い物理的な痛みと戦い、上体を起こそうとしたが起こせなかった。
後ろ向くと、ぐるんぐるんに絡まったうえ布団。
私が布団にひれ伏していると、無情にも保健室のドアが開いた。
何が無情って、私が一番ドアに近いベットで寝ていたこと、と見せないようにするためにカーテンの外に落ちて着地してしまったことだ。
あ、あれ…何か前もこんなことなかった?とか思いながら、
男子と思われる足が視界に入ってどんどん上へ目線を上げて行くと…三日連続ご対面…あかあしさん、である。
「…何やってんの?」
「…い、いや、ベットから、その…」
ゴニョゴニョ、とあまりに恥ずかしくて濁しながら言うと、あー…と納得するように声を出した。
「…せ、先輩こそ怪我でも…?」
「…いや、俺はテーピングとりに…」
「…そうですか」
保健室のドアの前に立ったままの先輩と、カーテンの外に上体だけ落ちてしまった(実際には全部落ちたが、先輩から見えるのは上体だけ)私。
そのままで続けた会話が途切れた。
なんだこれ、傍から見たら奇妙過ぎて怖いだろう。絶対。
そんなことを考えていると、先輩が動き出した。
あ、テーピングだっけ…先輩は運動部に入っているのかな。
私の予想は外れて、先輩は私の方へ来てカーテンをごく自然な動作で開けた。
「…え」
「…うわ、すっげぇ絡まってる」
珍しく表情を表す先輩。
けれども、それは一瞬でいつもの無表情に戻ると器用にシーツをといて行く。
ある程度シーツを整えると、先輩はこれまたごく自然な動作で私の膝の裏に、私の背に手を入れて
お姫様だっこをした。
いつもより高い視線、今までより一番近い距離の先輩、先輩の顔…おお、先輩顔整ってるなぁ…
…え?
「…急に持ち上げてごめん。痛いところとかない?落ちてぶったとか」
「ナイデス」
「そう…ならいいんだけど」
お姫様だっこ…え?
やっと理解が追い付いた私は顔が熱くなるのを感じた。
だって、そんな、こんな現実でこんなお姫様だっこされる機会があるなんて一ミリも思わないし、先輩だし、迷惑をかけた先輩だし…
め…いわく…
意味がない!昨日お礼出来たと思ったのにまた迷惑かけてる!意味がない!二回も言っちゃったよ!
しかも私昨日大好きな焼き肉だったからたくさん食べていつもより体重重いんだけど!
やっぱりこの先輩と私タイミング悪い!
恥じらいだなんて可愛らしい感情は早々と消え去り、私は申し訳なさでいっぱいで顔から血の気を引くのを感じた。
「…顔青いけど、大丈夫?」
「だ、だいじょう」
「横になった方が…」
先輩がそう言いかけた途端、保健室のドアが慌ただしく開いた。
「名前ごめん!やっと委員会終わった!帰ろ…う?」
「…」
「…い、委員会お疲れ様です」
保健室のドアの前で固まる綾、お姫差抱っこされたままの私、私をお姫様だっこしたまま綾を見る先輩。
また変空気になった。
「…え、っと」
「友だちと帰れそう?顔青いけど…」
「だ、だいじょうぶですっ!あ、ありがとうございます!」
そう言うと先輩は私をベットに座らせてくれた。
そして、なんと落ちたうえ布団まで拾って畳んでベットの上に置いてくれた。
「あああ、何から何まですみませんっ」
「いや、大丈夫だから…」
ぺこぺこ頭を下げる私に先輩は軽く首を横に振る。
「…すみません。こないだも名前が迷惑かけた先輩ですよね?
この子のことだからベットから落ちたから抱っこしてもらったと思うんですけど、本当にありがとうございます」
「…あ、いや、本当に大丈夫だから。大したことないし」
「そう言ってもらえると助かります。名前」
「あ、ありがとうございます!…うっ」
「ちょっ、名前っ!?」
急にぐらっ、と歪む視界。
熱くなったり緊張で寒くなったりして、気持ち悪くなったのか貧血を起こしってしまったのかもしれない。
さっきから顔色が悪いと思っていたけれど、真っ青な顔でベットに横たわる彼女を見て
やっぱり体調がよくなかったなんだと思った。
二人きりの保健室。時計を見ると後五分で休憩が終わる。
ジャージのポケットには足りなくなったテーピング。
「名前?え、ちょ…貧血かな…」
「ちょっと落ち着いて」
「あ、そ、そうですね…すみません、私ちょっと先生呼んできます。そろそろ会議も終わる頃だし…」
申し訳なさそうにこちらを見る彼女の友だちが言おうとしていることを察して、俺は頷いた。
「後五分くらいなら大丈夫だから。この子のことは俺が見てるよ」
「本当に色々とすみません。すぐ戻ってきます!」
快適に感じるこの空間でも貧血を起こすなんて彼女は身体が弱いんだろうか。
あ、そう言えば昨日のスポドリ代どうしよう。
でも彼女はお詫びと言っていたし、この三日間の彼女の様子から考えると、代金を返したら返したで
また彼女を追い込むことになるのだろうか。
…顔を青くして土下座をする彼女が自然に思い浮かぶ。
せっかく…だし、素直に受け取った方がいいかもしれない。
にしても、この三日よく遭遇したな。
彼女はとても気まずそうに申し訳なさそうにこちらを見てくるが、俺はそこまで気にしていない。
確かにそそっかしいし、ドジっぽい…というか、ドジ?だけど、
顔を青くして謝る姿は見ていて怒りというより、かわいそうな気持ちになってくる。
それにまだ申し訳なさそうにしてくれるだけいい。
…木兎さんに比べたら可愛いものだ。
そんなことを考えていると、廊下から急いでいる足音がしてきた。
「…お大事に」
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