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「俺は、Trickstarだ」

千秋がこっそりと開けたままにしていた練習室の扉から、スバルの声の言葉が聞こえた。自分が、自分たちが輝ける場所がTrickstarだと、言い切ってくれたのだ。その言葉を聞いてなまえとあんずは目を合わせて笑った。どれだけ苦しくても、彼はそこに立ち続ける選択をしてくれたのだ。

「ほら、入ってこい。恥ずかしがる必要はない、その衣装も似合ってるぞ!」

千秋に呼ばれたが、少し恥じらっていたあんずの背中をなまえは押した。これからもっと大きな舞台に立つのだ。ちょっとしたお披露目。かっこいいよ、と言って太鼓判を押す。あんずがアイドル衣装を着ていることに疑問を持ったスバルは戸惑った顔をしていた。
スバルがTrickstarとしてDDDに出場するためには、メンバーが足りていなかった。ユニットは二人以上のメンバーが必要である。それ故にあんずが一時的に謎のアイドルとして覆面を被ってアイドルのふりをする。もちろん戦力にはならないし、歌もダンスもできない。それでも二人以上という参加要件は満たすことができる。Trickstarは、まだ解散していない。

「何度でも言おう、お前は独りなんかじゃない」

スバルは衣装を着たあんずを見つめて、唇を噛んだ。北斗が、振り返らなかったあの時。ひとりぼっちになってしまったと落ち込んでしまった。あんずが、いたんだ。溢れてきそうになる涙を強引に拭ってありがとう、と言って笑った。

「明星、私からはこれ」

なまえはずっと握りしめていたCDを渡した。真に渡したもの。受け取ったスバルはまた驚いたような顔をしてなまえを見た。

「みんなで、歌ってほしい歌作ったから
お守りにでもしてよ」

こんなことしかできなくて、ごめんね。
そうなまえは口にした。舞台に立つ勇気もなくて、すぐに力になってあげることができない。歯痒さを感じてなまえは眉を下げて笑った。スバルはCDを見てそんなことないよ、と大きく頭を横に振った。

「ありがと、あだな
絶対、みんなで歌うから」

今はなまえにとってその言葉が頼もしくて、嬉しかった。
スバルはあんずやなまえたちの顔を見て、大きく息を吸った。まだ戦える、終わってなんかない。

「俺、さっきまで落ち込んでたのになんだかとってもワクワクしてきた!」

きっと三人とも帰ってきてくれる。
あの時三人で立ったステージは、何よりも輝いていた。あの光景を忘れるなんて、できないのだから。

「ありがとうみんな!
俺、がんばるよ!」