「続き、するか」
じ、と見つめてくる彼女に目を閉じろと催促をする。するとぎゅ、とこれでもかというくらいきつく目を閉じるものだから笑ってしまった。あの頃肩につかない程度の長さだった髪はずいぶん長くなった。
一房とってその手触りを確かめていると目を閉じたままだったなまえが服の裾を引っ張ってくる。我慢がきかねえやつだな。長くなった髪ごと頭を引き寄せる。急に距離が近くなって驚いたのか腕にしがみついてきた。薄目を開けようとするなまえの瞼に唇を寄せる。まだ閉じてろ。
額、頬、鼻と唇を当てる。くすぐったいのか、焦れったいのか声が漏れてきたなまえの唇に親指を当てる。流石に焦らしすぎたか。唇の端を舐め、そのまま啄ばむように何度か唇を合わせる。甘ェ。味わうように何度か舐め、時には軽く噛む。
二人しかいないリビングには唇を合わせる度水音が響いた。相変わらずこいつは息継ぎが下手くそで、呼吸が出来るように少し間をあけてやるとこちらをじとっとした目で睨んでくる。
「へたくそ」「うるさい」
息が上がって頬が赤く染まっていた。口寂しくなってまた頬、首筋、喉に甘噛みしていく。息がようやく落ち着いても、なまえの顔は赤いままだった。
「続き、するか」聞くとなまえは視線を逸らして一言「ずるい」。ここまでされて断るわけない。なまえは俺の腕を掴んでいた手を首に回して、そのまま後ろに倒れこむ。覆いかぶさるようになった俺に軽く唇を合わせてくる。してやったりといった顔に「お前も大概だってぇの」。その気にさせたのはお前だからな、覚悟しとけ。