22:37➤魔術師の邂逅
彼女を初めて見た時、カイザーにしては素朴で幾分かの良識はありそうな女だと思った。そして、彼女を見るカイザーの目もそれを語っている。少し上擦った、決して大きくは無い声で自己紹介をした彼女の顔は、困っているかのような、庇護欲を掻き立てる表情。
意識的か無意識か、そんな事どうでも良くて。こういう何も知らなさそうで、誰にでも笑顔を振りまくタイプは、それはそれで厄介だから早めにどうにかしなければ、と思う僕を見抜くかのようにカイザーが鋭い視線を送る。
その目に皆の背筋が凍る。
誰も貴方の物を取りやしないのに、と心の中でとても長い溜息をついて、彼女に歩み寄る。
意識的に浮かべた満面の笑みで、手を差し出した。
「これからよろしくお願いしますね、プリンセス?」
May 31th SS