場地姉は多分番外編でもポンコツである@
【携帯の待ち受けの話】
「場地さんって携帯の待ち受け何にしてるんスか?」
マイキーに呼び出され一部の東卍メンバーと公園で遊んでいた姉に話しかけたのはタケミっちだった。黒龍とやり合う前八戒の姉、柚葉が弟の写真を待ち受けにしていると聞いたタケミっちはじゃあ場地姉も弟の写真を待ち受けにしているのかというちょっとした疑問からの質問だった。
みんなも気になるのかゾロゾロと姉の周りに集まってきてそれぞれで待ち受けの予想を始めた。
「空の写真。」
「野良猫じゃないっスか?」
「あー…夜景とか。」
「場地とのツーショット。」
「え〜あの場地がねーちゃんとツーショット撮る?」
「で?実際は?」
携帯を取り出した姉の手元が見えるように全員横や後ろから覗き込む。
パカパカタイプのガラケーを開き、そこに写っていた人物に千冬が驚きの声を上げた。
「灰谷兄弟!?」
そこには楽しそうな顔で自撮りしている灰谷兄弟の写真が写っていた。女子高生のようなノリでピースしているのがなんとも言えない。
「なんで!?!!?」
「その辺にほっといたらよく誰かしらの自撮りに変わるんだ。だから友達には決められた曜日ごとに彼氏と遊ぶ女だと思われている。」
「ねーちゃんそれ貸して。」
真っ黒お目目から感情がなくなったマイキーが姉の手から携帯を抜き取った。そして姉と一緒に周りから離れてツーショットをパシャリ。それを待ち受けに変更した。
「これからねーちゃんの彼氏はオレ1人でーす。」
「そうか。」
「いやそうかで終わらせないでください!?」
姉は待ち受けに興味がなかった。なんなら裸の女の人の写真であっても満員電車で隠すことなく携帯をポチポチできる。1度カラアゲくんがイタズラでそれをして複数人にボコボコにされた事があった。
ちなみにカラアゲくん、姉に特徴がないと思われてずっと名前を呼ばれていたのでそれを羨んだ部下たちにボコボコにされたことがある。周りは特徴しかねぇじゃんと思っていた。
結局グッドルッキングガイの兄による「オマエ今日からカラアゲくんな。」の一言で姉にカラアゲくんと呼ばれ始めた哀れな子である。本人は「どっちかと言うとライオン…。」と言っていたが黙殺された。
「おいズリィーだろ。」
「ねえさんオレも!オレもツーショ撮りたいっス!」
「は?」
一触即発の空気に姉は喧嘩はダメだよと優しく注意した。みんなごめんなさいしたが姉が見てない表面化で争って膝から下が砂埃に塗れていた。興味が無かったドラケンとタケミっちも巻き込まれた。
翌日、姉の携帯の待ち受けは姉弟のツーショットになっていた。
【彼氏の話】
「なぁ〜ボスって彼氏いねーの?」
「友達の間ではお前たちが曜日彼氏ということになってる。」
「うっそマジかサイコー。」
「何曜日?」
「土曜日。」
「1番いい曜日じゃね。」
「つか2人一緒かよ。」
「他の曜日はだいたいトーマンの誰か。」
「またトーマン〜。」
「ボスほんとトーマンばっか〜。」
「ちなみに本命はこけし君ってことになってる。」
「は?何で鶴蝶?」
「メールの文章が彼氏っぽいって。」
「は??」
「こけし君がいい子なのはいつもの事だ。」
「オレらだっていい子だし。」
「お前たちは土曜日だ。こいこいは愛人らしい。」
「あーぽい。見た目ぽい。」
「外国の血が混じった愛人ってスゲーぽい。」
「センスが独特なピアス付けてるところもぽい。」
【姉の髪の話】
「え、ねえさんってパーマあててるんですか。」
「そう。もともとストレート。」
「姉弟だから似た髪質だと思ってたワ。」
「昔圭介がストパーかけてみんなで爆笑したことあるでしょ?」
「あーあった。売れないバンドマンみたいで1ヶ月笑い止まらなかったやつな。」
「え、なんスかそれ見たい。」
「アレ私の髪質に合わせようとして無理矢理やった。」
「酷い。」
「横暴。」
「鬼。」
「姉弟喧嘩になってボコボコにした。」
「鬼畜。」
「人間のやる所業じゃねぇ。」
「あまりにも似合わないから私がパーマかけた。」
「そこにたどり着くまでの犠牲が大きすぎだな。」
「写真は残してるから今度集会に持ってお邪魔する。」
「すんな。」
「やめてやれ。」
「もっとやれ。」
「やめろマイキー。」
【もし姉が踏み絵現場に突撃したら】
その日姉はカラアゲくんを連れて歩いていた。
姉的にコイツよくぶん殴られてぶっ飛ぶやつだなという認識だが、そういう所がバカっぽくてそこそこ気に入っている。バカ=弟という方式が出来上がっている姉はバカな子にはそこそこ優しかった。
少し歩いたところにあるオシャレなカフェに行こうと近道のための路地裏を歩いていると、白い上着を着た不良に絡まれてしまった。ちなみに、中華ゴリラにカラアゲくんとオシャレなカフェに行くと伝えるとあの見た目でオシャレなカフェは可哀想だからやめてやれと言われた。姉はよく意味が分からなかったのでやっぱり連れていくことにした。
絡んできた不良はカラアゲくんがのしたが、楽しくなったのか逃げていく不良を追いかけ始めた。しつこ過ぎる男はモテないと姉は思ったがカフェに一緒に行きたいためついて行くことにした。
たどり着いた先は潰れたゲーセンだった。
中には先程の不良と同じ白い服を着た男たちがたくさんいた。そこでヒャッハーしていたカラアゲくんを、少し遅れて到着した姉は殴り飛ばした。
「ちゃんとお邪魔しますしなさい。」
「ごめんなさい。」
カラアゲくんはちゃんと謝れるいい子だった。
「え、だっ誰…!?」
奥で金髪の子が声を上げた。
「…場地の、ねーちゃん?」
ゲーセンの奥から聞こえた声に、姉は顔を向けて首を傾げた。見覚えのない子がこちらを驚いた顔で見ていたからだ。鈴のピアスを付けているから鈴カステラを食べたくなってきた。姉はお腹が空いていた。見覚えのない少年は鈴カステラと呼ばれるようになった。
「は?」
その声には覚えがあった。
姉が不良たちの間を突き進むと、そこには先日見た半間とボロボロな誰かに股がっている弟が居た。姉はそれを見て口元に手を当てた。
「圭介…。ちょっと、…プレイが激しすぎるぞ。」
「違ぇよ!!!!」
姉は下ネタも大丈夫な人だった。むしろ喜んで弟の好みのエロ本を探して姉弟喧嘩になることがしょっちゅうだった。
「アンノウンの総長じゃん。芭流覇羅潰しにでも来たのかよ、ダリィ〜。」
「豚バラ?」
姉は弟のプレイ内容が濃すぎてほぼ話を聞いていなかった。
「ボス、芭流覇羅だってよォ〜。いいじゃんついでに潰してこーぜ!!」
カラアゲくんに肩を組まれた姉は、性癖は個人の自由だけどちょっとハードすぎるから注意した方がいいのか考えていた。
「…でも人の性癖に口を出すのは…。」
「だから違ぇって言ってんだろ!!!!」
「ばはっ、流石にプレイに参加は勘弁だなァ。これは踏み絵だよ。」
「踏み絵…?」
最近の若者はそんな高度なプレイを楽しんでいるのかと戦慄した。
「場地が東卍から芭流覇羅に入りたいって言うから元チームの人間ボコらせて忠誠試してんの。」
「…へえ。」
鈴カステラの言葉で表情が消えた。姉は喧嘩上等を掲げているが、ただの暴力は許せなかった。
弟は表情が消えた姉に一瞬で死を覚悟した。振りかぶられた左足に両腕を使ってガードしたがぶっ飛ばされてしまった。
ガヤガヤしていたギャラリーは一瞬で静まり返る。
「カラアゲくん、この子持って待ってな。」
「了解ボス。」
「よし、全員特殊性癖に目覚めないよう躾てやろう。」
女である姉は不良の中で喧嘩していても舐められることが多い。そのため今回もアンノウン総長でも下卑た笑みを浮かべて舐めてかかっているヤツらがほとんどだった。
意識が朦朧として声が出せない弟は心の中で必死に止めた。ここがお前らの墓場になるぞ、と。
「ダリィ〜…まァでもいいや。アンノウン総長を直接ぶっ殺せる機会そーねぇし。」
半間が何かしら喋っているが、姉は稀咲と半間の関係性が好きなだけであって半間単体では興奮しないため何を言われてもほぼ聞いていなかった。それより大事なのはどういう風にカッコよく戦うかである。
まずは顔をキリッとさせることから始まり、相手の攻撃はいなし自分の拳は的確に相手の顔面と鳩尾に叩き込む。その華麗で無駄のない動きに鈴カステラに連れて来られていたタケミっちは思わずカッケェと呟いた。
気付けば無事なのは半間と鈴カステラ、そしてタケミっだけになっていた。カラアゲくんは姉が投げ捨てた男の下敷きになっていた。
「ばはっ!つえぇ〜。」
「ね、ねーちゃん…?」
「…カフェが閉まる。」
「えっ??」
携帯を確認してポツリと零された言葉。
「カラアゲくん、いつまで寝てるんだ。その子連れて行くぞ。」
「いて…。」
呆然としたままの3人を放置したまま弟にボコされた男の子とカラアゲくんを引きずってゲーセンを出ていく姉。もはや生態が竜巻のようである。いずれ姉が去った後には何も残らない、という武勇伝が出来そうなレベルでめちゃくちゃだ。
こうして東卍と芭流覇羅がぶつかる前に、片方の戦力が半分に減ったのだった。
そして案の定カフェで紅茶とシフォンケーキを頼んだカラアゲくんは奇怪なものを見る目で見られた。