05
以前この船に寄ってから今日までの私の旅の話を毎日ニューゲートに話しながら、気付けばくじらちゃんの上で何週間も時間を過ごしていた。今日までの旅はこれまでで一番穏やかで快適な旅だったから、私が来るのが遅かった理由もそう言うわけかとニューゲートも穏やかに微笑む。いつもは長くても二週間ほどで次の旅に出ていたから、みんなも珍しいなと言いながらいろんな話を聞かせてくれた。中でもエースは、お互い知らないことだらけだったこともあって、昔話も沢山してすっかり仲良くなった。
「見てくれオヤジ!」
そんなエースが、一枚の手配書を持って嬉しそうにニューゲートの元に来た。私も肩叩き中の手を止めて、ニューゲートの右肩からひょこっと顔を出す。
「これ、おれの弟なんだ!」
嬉しそうに指したその手配書には、元気いっぱいの笑顔を零した友達が写っていた。
「あ、ルフィだ!」
「なんだナマエ、ルフィを知ってんのか!」
「うん!」
エースの元に降りてルフィの手配書を一緒にのぞき込む。三千万ベリーの手配書に、私はニューゲートを見上げ、その手配書の彼と同じようにニッと歯を出して笑う。
「元気そう!」
グラララ、と笑いながら、エースにも私にも良かったなと声をかける。
「ルフィもやっと海に出たんだね」
「ああ、ついに来たな」
話の途中で、またしても敵襲に邪魔される。この辺りの海にいる海賊は白ひげの船を攻撃ばっかして、バカなのか。もう!と怒って立ち上がる私に、ニューゲートが待ったをかけた。
「お前は大人しくしてろ」
この間のエースを連れて行った遊びの件があってから、私はもう手を出してはいけないということになっていた。あいつらに任せておけ、と呑気に椅子に座り直すニューゲートにつままれ、肩たたきの続きだと言わんばかりに私をセッティングするので、ちょっと強めに肩を叩いてやった。
「加減しろ」
「してるもん」
「ナマエ、こないだのお礼と言っちゃなんだが、おれにも見せ場くれよ」
ふてくされながら肩を叩く私を見たエースが、ニューゲートに目配せする。私も期待の眼差しでニューゲートを見ると、ため息を一つ吐いた後行ってこいとエースを送り出す。手を出してやるなよと声をかけ、その様子をみんなで見守ることにした。
「ね、エース強くなった?」
「見てりゃ分かる」
「ひひ、楽しみ」
自分でもびっくりするくらいの単純さだ。ニューゲートの膝元に座り、イゾウが持ってきてくれたおにぎりを食べながらみんなとその様子を見て、以前より格段に上がった能力のエネルギー量にわあお、と声が出る。
「火拳」
一気に放出された炎の向こうでエースの少し高い声がき聞こえて、海の上のキャンプファイヤーが出来上がる。
「すごいねえ!かっこいいねえ!!」
バシバシと太腿を叩く私の手を、やめろとその大きな手で抑えたニューゲート。みんなの様子を覗けば、感心したようにその光景に温かい眼差しを送っていた。
「少し物足りなかったな」
戻ってきたエースに怪我はなく、へへと笑いながら私のおにぎりに手を伸ばす。‥おにぎり、取られた。
「あ、おいエース‥!」
「ナマエ待て、」
お疲れ様の前に、エースと一発遊んであげないといけないな。皆の止める声も気にせず、私はニューゲートの膝を降りる。その数秒後、くじらちゃんの上でボロボロになったエースはぼーっと空を見上げていた。ぽつりぽつりとエースに近寄る者が口々に、私がニューゲートの上でおにぎりを食べている時は手を出してはいけないときつく言い聞かせていた。
「自己紹介ん時に教えてくれよ!」