07

まだ少し暗い空気はあったものの、ニューゲートが寝れない日々を過ごすことは少なくなってきていた。あの鉄の掟の一件からどのくらい経ったかも朧げになった夜の事。友達の呼ぶ声がして、私は夜中に目を覚ました。

「‥怖い夢でも見たのか」

身体を起こした音に片目を開いたニューゲートが、私の身体に手を伸ばす。大丈夫、と言葉を返す私の身体を自分の方へグイと引き寄せて、また目を閉じる。私の旅など急ぐものでもない。こんな時くらいずっと一緒にいてあげたいけれど。窓から入る月明かりを辿って、真ん丸の月を見上げると、また声が聞こえた。

「ニューゲート‥私明日の朝発つね」
「そうか」
「ひひ、寂しい?」
「寂しいと言やあ残るのか」

目を閉じたままそう言ったニューゲートは、まだ半分夢の中みたいだ。そんなずるいことを言い残してまた寝息を立てる彼に、ごめんねと一言言葉を添え、私もまた眠りについた。
翌朝、雲一つない快晴に沈んだ空気も晴れているように感じる。実に出航日和。良い日になりそうだ。

「ナマエ、もう行くのか?」
「友達が呼んでるから、行ってあげないと」

起き抜け早々に皆の分のおにぎりを握り、それが終わると船を出す準備を始める私を、ハルタが縄を解くのを手伝ってくれる。また寂しくなるなと、言葉の通り寂しそうな顔で笑う。

「寂しくなったら、ニューゲートが慰めてくれるよ」
「オヤジにそんなこと言えるか!」
「ひひ、今度来た時にどうなったか教えてね」

まったく、と笑うハルタが私の頭に手を置く。

「旅のどこかで、エースに会ったらよろしく伝えてくれ」
「うん、必ず伝えるね。」

私の船出に、ニューゲートや彼の息子が揃って見送りをしてくれる。

「そんじゃ、行ってくるね!」
「次来るときはおれたちにも土産よろしくな」
「今回は大砲プレゼントしたのに」
「ありゃお前の船に乗らなかったおこぼれだろ」
「ひひ、バレてる」

旅立ちのその時まで賑やかに、皆の顔には多かれ少なかれの笑顔が浮かんでいた。気を遣ってくれているのか、思ったより明るい船出に深く頭を下げる。その頭を撫でたのは他でもないニューゲートで、気を付けて行ってこいと優しく言葉をかけてくれた。

「いつでも戻って来いよい」
「うん、ありがと!ニューゲートのこと、またお願いね。」

んじゃ、とパスミーに乗り込み、鯨ちゃんと皆に手を振った。

「パスミー、あそこに行くのは久しぶりだねえ。皆、元気かな」

波に揺れるパスミーと一緒に、また気ままな旅の始まりだ。