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「ナマエ、起きねえと食っちまうぞ」
寝坊助な私を、ニューゲートが起こしに来た。起こそうとしても身体は上がらなくて、瞼も重い。目が開いた感覚はないのに、ニューゲートの顔ははっきりと見える。なんだ、夢か。早く会いたいなあ。空を降りたら会いに行きたいなあ。‥そうだ、私は今空にいるんだ。ワイパーはどうしたんだっけ。皆は助かったんだっけ。私の力は収まったんだっけ。
するりと額を撫でる指は、誰のものだろう。頭に乗る手のひらは誰の者だろう。優しい声は、あの子たちのものだろうか。
「お前の友達が待ってるぞ」
「おれ達も、下の海で待ってる」
「「行ってこい、ナマエ」」
温かい声が手助けしてくれるように、私の瞼はその重さを減らしていった。ゆっくりと意識が戻っていくと、海のように柔らかいベッドが揺れ、私の顔を覗く五つの顔がぼんやりと目の前に広がった。おはようと笑えば、皆別々に反応を返してくれる。そしてワイパーは、初めておはようと返してくれたのだ。
皆の事は全然守れなかったけれど、どうやらあの鐘の音はやはり戦いの終わりを指していたらしい。外から聞こえる賑やかな声がそう言っていた。
「「「「ナマエ!」」」」
遺跡にこだました自分の名前に驚いて少し身体を起こす。ワイパーが背を支えてくれ皆に手を振ると、入口で押し合いへし合いしているみんながどっと中になだれ込んでおはようと次々に声をかけてくれる。寝ているよりもずっと元気になれそうだ。ルフィがチョッパーを抱えて先頭まで飛び出して、腕を伸ばして飛んできた。
「ルフィ、おはよ」
「シシシ、もう夜だ!宴しよう!」
「今起きたばかりだぞ、無理だ」
ワイパーとルフィがいつの間にか仲良くなっていて、チョッパーは私の身体を見ながらずっと泣いていて、ルフィの仲間たちとアイサが続々とベッドの周りを囲ってくれる。
「ナマエ、起きたか」
「ガンフォール、酋長。ひひ、やってしまった」
二人とも穏やかに笑って、私の頭を撫でてくれた。ワイパーも酋長に席を譲ろうとして立ち上がったけれど、お前はそこに居ろと酋長の言葉に倣って再び腰を下ろす。
「実に見事な戦いだった」
「一人にさせてしまって、すまなかったな」
おじいちゃんたちは深く頭を下げて、私の痛みを一緒に背負おうとしてくれているようだった。気にしなくていいのに。二人の下がった頭に手を伸ばして頭を撫でると、ルフィがシシシと笑い、ワイパーも笑みを浮かべて、それにつられて彼らの仲間も次々に笑った。皆がこんなふうに笑う日が来るなんて、この国の歩んできた歴史を知る者はそれがどんなに難しいことかを感じているだろう。
「宴に行こう、みんな」
チョッパーが外してくれた包帯の下の傷がまだ残っている。体温もまだ少しあるけれど、制御できないほどじゃない。それが証拠に、ルフィはさっき腕を伸ばして飛んできてくれたし、今も私を掴んで行くぞと宴に連れ出してくれる。
「お前はどうする、ワイパー」
「ナマエの誘いだ、断るなよ」
彼の名を呼ぶと、タバコに火を点けて立ち上がるワイパー。
「酒の準備は足りてんだろうな?」
ニッと笑ったワイパーに手を伸ばし、満月の夜空の下、皆で宴をした。皆が手を取り楽しそうに笑っている姿は、それだけで元気が出た。それだけで嬉しさに笑顔がこぼれた。無理するなよと抱えてくれたワイパーも、いつもよりずっと楽しそうだった。