万葉は幼かった頃の夢を見た。
楓原家がまだ祖父も父も健在だった頃、家族も使用人たちも総出で庭に出て、正月だろうか、餅をついていた。
「さぁ、坊ちゃん、つきたての餅ですよ!」
直前まで杵を奮っていた使用人が、皿に乗せた餅を差し出してくる。
そして――



*20231215