ひとときの安らぎ

『…今日はどうしようかなぁ…』

洗い物を済ませ、テレビを見ていると…

ピンポーン

『…誰だろう…』

ピンポンピンポンピンポーン

『…ええ…』

慌てて玄関に向かった

『はーい…』

扉を開けると

『…っ!』

「あれあれーっ?どうして一郎の家にオネーサンがいるのかなっ?なんでかなっ!?」

『…』

飴村乱数…

「ねえ、どうして?どうして一郎の家にいるの?どうしてかな?」

乱数が1歩1歩私に近づいて来る

…乱数がこんなに怖いなんて思わなかった…

そこへ…


スパーンッ

「やめなさい乱数」

「いったーい!幻太郎ってば、やめてよね!プンプン!」

「いや、いまのはどう考えてもおめぇがわりぃだろ…」

…夢野幻太郎に、有栖川帝統…

「乱数いきなり失礼いたしました。あ、小生は有栖川帝統というしがないギャンブラーです」


「こら!嘘つくな!」

…今は帝統が天使に見える…

「「「!」」」

思わず涙がこぼれそうになったので、背を向ける

『すみません…』

「こちらこそすみません。こわい思いをさせてしまいましたね。乱数はこちらが責任もって連れ帰りますので、ゆっくりしてください」

「ちょっ!幻太郎!?」

「ほら、いきますよ乱数」

乱数は幻太郎にひきづっていかれた


…嵐だぁ…





ー…


それからしばらくして、一郎くんが帰ってきた

「ただいまー」

『あ、帰ってきた…お帰りなさい!』

慌てて玄関に向かい出迎える

「あ…おう。…なんか、お帰りって言われるの、むず痒いな」

と一郎くんがはにかんだ

『そ、そう…?』

「おう」

と笑う一郎くん

「…あ、そうだ、これ」

『え…?』

「手ぇ出せって」

『う、うん、…』

私が手の平を上にして出すと、その上におかれたのは、ひとつの鍵

『…!これって…!』

「家の合鍵だ。これからは好きなときに出掛けていいからな」

と笑う一郎くんに、救われた

『…あり、がとう…』

そう言うのが精一杯だった

「おう。…さ、昼飯食おうぜ」


『あ、うん。簡単なもの…パスタとかでもいい?』


「おう、大丈夫だ」

ボンゴレビアンコを作ってリビングへ行く

「お、旨そうじゃねぇか」

『ふふ、美味しいといいんだけど』

「それじゃ」
 
「『いただきます』」

一郎くんが食べる姿を眺める

『…どう?』

「あぁ、旨い」

にっこり笑った一郎くんに、私も笑った




ひとときの安らぎ

(さっきは驚いた…)