昼下がりのティータイム

それからしばらくして、寂雷先生と待ち合わせの時間になった。


私がカフェで待っていると


ピロンッ


『…あ、寂雷先生だ』


〈もう少しで着きます。どの辺の席に居ますか?〉


『えっと、一階のテラス席に居ます、と…』


そう送信すると同時に、影が伸びた


「お待たせ」


『…あ、寂雷先生!』


ぱぁっ、と私の顔が明るくなるのがわかる


「ふふ、待たせてすまなかったね」


『いえ、そんなに待ってないので!』


「それならいいのだけど。…あ、珈琲をお願いします」


ウェイターに珈琲をお願いすると、寂雷先生はテーブルの上で手を組み顎を乗せる


「…それで、何があったんだい?」


『…なにかあった、というわけではないのですが…』


私はうつむく


「…なにかがあったわけではない、ということは、なにか気持ちの問題かな?」


『う…その通りです…』 


流石寂雷先生…


『…私、一郎くんにお世話になってていいのかとか、このままここにいていいのかとか…いろいろ、悩んでしまって…』


「そうですか…」


寂雷先生は悩んでくださっているようだった。


「…私は、みのりくんがここに来てくれたことを嬉しいと思っているし、できるなら、これからも仲良くしてほしいと思っているよ」


『寂雷先生…』


相変わらず優しい…


『…ありがとうございます。私も、寂雷先生たちと一緒にいたいです』


と笑った


「…できるなら、その“一緒にいたい人”の対象が、私一人になってくれたならもっと嬉しいけどね」


『え?先生なんて?』


「ふふ、なんでもないよ」


『?』


「お待たせいたしました、珈琲でございます」


「ああ、ありがとう」


寂雷先生が、届いた珈琲を飲む。


『…』
 

…本当に絵になるなぁ…


なんて、私も紅茶を飲みながら思った。


「…ふふ、そんなに見つめられると困るな」


『え!?そんなに見てました!?』


慌てて視線をそらす


「ふふ、凄く熱烈な視線だったね」


『ええええ…』


顔を真っ赤にして手で覆う


恥ずかしい…!


「ふふ、可愛らしいね」


寂雷先生によしよしと頭を撫でられる。


…あれ、もしや、これは端から見たらデートに見えるのでは…?!


なんてちゃかす脳内を抑えつつ、


『は、恥ずかしいです…』


と還すのが精一杯だった。 


「…そうだ、このあとは時間はあるんだったよね?」


『あ、はい。あります。けど…?』


私ははてなマークを頭をに浮かべた。


「良かった。このあと付き合ってくれるかい?」


『あ、はい。わかりました!』


「ふふ、ありがとう。…ただ、もう少しだけ、この時間を楽しもうか」


『…はい、そうですね』


と、二人で優雅な昼下がりのティータイムを楽しんだ








昼下がりのティータイム

(寂雷先生と昼下がり)