突然のハプニング

「ただいまー」


だだだだ…


「「兄ちゃん/一兄!!姉ちゃん/みのり姉は!?」」


「あぁ、安心しろ」


『帰ってきたよ』


一郎くんの後ろから顔を覗かせると、二人があからさまにほっとするのがわかる


「よ…かった…」


「帰って…来たんだ…」


『ごめんね…』


私は背伸びをして二人を抱き締める


『でも、帰ってこないなんてことないよ。だから大丈夫』


「…姉ちゃん…」


「みのり姉…」


二人とも、昔を思い出したのか、涙声だった 


『ごめんね…こんなに思ってくれてありがとう』


ぎゅっと二人を抱き締めると、二人も私のことをぎゅーっと抱き締め返してくれた


「…おい、そろそろ俺上がりたいんだが…」


「あっ!兄ちゃんごめん!」


「一兄ごめんなさい!」


一郎くんがそう言うと二人は慌てて離れ、距離を取る


『ふふ、今日は四人で寝ようね』


「え、冗談のつもりだったのにいいのか?」


『うん、心配かけちゃったのは事実だから』


「「え、いいの?!」」


『ふふ、いいよ』


そう言うと、二人は嬉しそうに笑った


「ふ、布団準備してくる!」


「ぼ、僕も!」


「俺は夕飯の準備をするよ」


『え、私は?』


「姉ちゃんは俺たちのこと見てて!」


『ふふ、わかった』


私は二郎と三郎の準備を見守ることになった


「おい三郎、枕よこせ」


「少し待ってろ」


喧嘩しながら準備してる二人を眺めていると、スマホが鳴った


♪〜


『あれ…知らない番号…』


警戒しつつ、電話にでた


『…はい、もしもし』


〈あぁ、お前が江藤みのりか〉


『え…?』


この声って…


『無花果様…?』


〈ほう、この私を知っていて、様付けするとは、お前、なかなか見所があるじゃないか〉


電話越しに無花果様が口角をあげるのがわかった


『…な、なんで無花果様がこの番号を…?』


私のスマホはこの世界の物じゃないのに…


〈ふん、そんなこと造作もない〉


調べられたってこと…?


〈…飴村に、お前の話を聞いてな〉


『えっ…』


乱数に…?


そんなことを聞いたら、嫌な予感しかしない…


背筋に嫌な汗が落ちる


いつの間にか、二郎と三郎はこっちを見て息を飲んでいた


『あっ、ごめんね、こんなところで電話して、いまいど「ここにいて」…え…?』


「でないと、姉ちゃんを守れない」


真剣な顔で、三郎も頷いていた


〈あぁ、お前は今山田一郎達の所にいるんだったな。なにか言われたか?…ふん、まぁいい。飴村にな、面白い奴がいると聞いてな〉


『え、面白い奴…?』


〈そうだ。飴村はお前の事が気に入ったと言っていたぞ。…だから、お前の事が気になったのだ。飴村が気に入った女が、どんな女か〉


思わず息を飲む


〈近々中王区へ顔を出せ。…待っているぞ?〉


プツッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ


『…はぁ』


電話が切れたので、思わずため息を着いた


「なに?誰から?」


「みのり姉にそんな顔させるのは誰なんです?」


『…驚かないでよ?…勘解由小路無花果』


「…え?」


「「えーーーー!?」」



突然のハプニング


(まさか、無花果様から電話なんて…)