それは効能ではありません



※「媚薬を飲まないと出られない部屋」に入った上司夢主と尾形の話。
※濁点♡喘ぎ




 照明の明るさに目を細めた。真っ白な壁に覆われた見知らぬ部屋。恐る恐る起き上がろうとした私は、隣に人が倒れていることに気づいてギョッとした。でも、私と同じようにたった今目覚めたらしい彼は、よく知っている男の子だ。
「尾形くん!」
 痛むのか、頭を抑えながら尾形くんがゆっくりと起き上がる。自分がどこにいるのか分からないことに怯えていた私は、尾形くんが一緒だということにひとまず安心してしまう。会社で同じ部署の後輩。たしか彼と過去の書類を探しに倉庫へ入ったはずなのに、そこからの記憶がない。
「何ですか、ここ」
「私にも何が起きたのか」
 二人で警戒しながら辺りを見渡す。がらんと広い部屋の真ん中に、脚の長い小さなテーブルがある。そして、奥に鎮座する広々としたベッド。壁にかかっている時計の時刻は、私たちが倉庫へ向かった時間からそう経っていない。不自然に置かれた家具に気味の悪さを覚えながら、私は立ち上がって部屋のドアへと足早に向かった。でも、ドアノブを捻ってもそこは固く、全く回ろうとはしてくれない。
「まさか閉じ込められてるの?」
「悪ふざけにしちゃ行き過ぎですね」
 尾形くんが前に来て、思い切り肩でぶつかるようにして開けようとしても、扉はびくともしなかった。もしかしたらこのまま出られないのではという焦りが、私たちの間に立ち込める。
 
「ここに来るまでのことって、尾形くん覚えてる?」
「……倉庫で書類探すことになって、先輩が扉開けた途端、意識が薄れていった気がします」
「そんな、漫画じゃあるまいし」
「どうやってここに来たのか考えるのは後です。脱出できる経路を探しましょう。入ったなら出方だってあるはずです」
 冷静な尾形くんに頷く。尾形くんが新人の頃から名目上の上司ということで指導してきたけれど、今は五年上の私が指導する隙なんてないくらい優秀な後輩だ。そして、今日みたいに私が仕事で困った時にすかさず手を貸してくれる。でも、この状況で二人きりになったのが尾形くんでよかったと思っているのは、私の中で彼が、頼りになる後輩という存在にとどまらないから。
 
 テーブルの方へと視線を移した私は、その上に香水のような可愛らしい瓶が置いてあることに気づいて近づいた。しかも、隣には一枚のカードが敷かれてる。「見てこれ!」何かここを出る手がかりがあるのではと思い、慌ててカードを手に取った。でも、読み上げようとして目を通した私は、そこに書いてある文言に血の気が引いていく。

・ここは【媚薬を飲まないと出られない部屋】です。
・瓶の中の媚薬を二人のうちどちらか一方が飲み切って下さい。中身を捨てたり、両方が口にした時点で扉は二度と開かなくなります。
・媚薬を飲み切ってから三時間後に部屋のドアが開きます。効果もおよそ三時間で切れます。
 
 後ろでカードを読んでいるはずの尾形くんの顔を、見ることができない。目の前の瓶を手に取ることも。この薄桃に色づいた液体が、本当に媚薬だというなら。私たちが何を期待されているのか、考えるまでもない。
「何これ。信じるわけないじゃんね」
 わざとらしくバカにするように言っても、尾形くんは返事をしなかった。振り返ると、扉が開かないことを知った時よりよほど戸惑った顔をして視線を彷徨わせている。私たちの視線は自ずと壁際のベッドへと向いてしまって、顔が火照っていく私はごまかすように尾形くんの肩を軽く叩いた。
「揶揄ってるだけだよ! 絶対他に出口があるから探そう!」
 尾形くんが気の抜けた相槌を打ってから、私たちは手分けして壁や床、ベッドの周りをくまなく探索した。でも、息を切らすほど部屋中を動き回ってもいっこうに脱出の手がかりになりそうなものは見つからず、枕元にコンドームやティッシュ、おまけに紐付きのローターが置いてあっただけだった。目の前の瓶が唯一の脱出方法だと認めざるを得なくなった私たちは、お互い黙りこくっている。
 
 ため息をついて髪をかき上げる尾形くんを見ながら、私は自分が尾形くんに手を借りようとしたことでこの状況に陥ってしまったことに責任を感じ始めていた。そして、飲んでからも三時間はここから出られないというなら、そろそろ腹を決めなければ。どちらが薬を飲むか。でも、それを話し合う前に、私には確かめ合いたいことがあった。
 
「尾形くんは、好きな人いる?」
 尾形くんの瞳を覗き込むように言った。他の女の子にどれだけアプローチされても靡かない尾形くんは、私には気を許して、甘えたり、かっこいいところを見せようとしてくる。私と同じ気持ちに違いない尾形くんは、きっと私を守るために、この得体の知れない薬を自分が飲むと言うだろう。だから、飲んだ後尾形くんが抑え切れなくなっても、私も尾形くんとなら構わないということを伝えたかった。とんでもないピンチなのに、奥手な尾形くんに歳上らしいリードができず今日まで関係を変えられなかった私にとっては、両思いになるチャンスかもしれない。
「私ね、」
「やめて下さい。今関係ないでしょ、そんなこと」
 でも、視線を逸らした尾形くんにそう言い捨てられて、私には後ろから頭を殴打されたような衝撃が走った。え!? 関係ないって、私のこと好きじゃなかったの!?!? 両思いになってからしたいと思ったのに、尾形くんにとっては私に気持ちを打ち明けられることが迷惑みたいで愕然とする。
 
「これ、俺が飲みます」
 尾形くんが瓶を目で指して言ったけど、表情は言葉とは裏腹に、この状況が受け入れられていないようだった。
「何があっても、先輩に手を出さないですから」
 私とじゃそういう気持ちにならないってこと!? 次々とひどいことを言われているような気がしながらも、尾形くんは私とそういう流れになるのが不本意なんだと悟ってしまった。万が一、尾形くんが我を忘れて私とそういうことをしたとしても、尾形くんにその気がないならここを出た後気まずいだけじゃん。神妙な顔をして何度も頭を下げるのだろう尾形くんは、そのうち私から距離を置くようになる。怖くなった私は、この薬を飲んだ自分の姿は想像しないまま、目の前の瓶を手に取っていた。蓋を開けて、「先輩?」と目を見開いた尾形くんが奪い取ろうとする前に、瓶を傾けて口にする。粘性のあるシロップのような甘ったるさが喉を通っていく。最後の一滴まで飲み干すと、視界がくらりと揺れて身体が傾いた。尾形くんが支えてくれたけど、肩を掴んだ手は思いのほか力が込められている。
 
「何考えてんですか、あんた!」
 初めて、尾形くんが私の前で声を荒げた。本当に私を庇うつもりで自分が飲もうとしてくれてたんだ。それが恋愛感情からくるものじゃないと分かっても嬉しかった。
「こうなったの、元はと言えば私が尾形くんを倉庫に連れて行ったからだもん。だから私が責任取る」
「俺が手伝うって言ったんだろ」
「尾形くんのこと、信用してるよ。でも、もし尾形くんが我慢できなくて、私でもいいからってそういうことをしちゃったら、絶対後悔するでしょ?」
 好意を持たれていないと分かっても、今日までの関係を守りたいから自分が飲んだくせに。殊勝なことを言って納得させようとする私に、尾形くんは苦虫を噛み潰したような顔をしている。

「先輩は、我慢できなくなったらどうするんですか?」
「大丈夫だよ。もし、私が尾形くんに迫るようなことしても尾形くんなら止めれるでしょ?」
「どうですかね」
「そこは止めますって言ってよ。でも、そんなことにならないようにするから」
 身体が奥が、じんわりと熱を帯びていく。もう薬が効き始めた私を、尾形くんは気づいたのかじっと見ていた。どうしよう。尾形くんとエッチしたら全部終わると思って自分が飲んだけど、発情してる姿見られるのも問題大ありじゃん。

「ごめん、私から離れててもらえる?」
「……じゃあ、先輩はベッドにいて下さい。俺は向こうにいますから。何かあったら呼んでください」
 私の意図を察してくれた尾形くんは、ベッドの置かれた壁際とは反対側へと行って、向こうの壁に寄りかかるように腰を下ろした。ベッドへ腰掛けると、風邪を引いた時のような倦怠感が身体中を包んでいく。
 尾形くんが引いた見えない境界線。エッチするためのような状況でしないことを選ばざるを得なかった私は、薬の効果に強気で構えながらも、自分の失恋に落ち込んでいた。

 ***

 息が乱れるほど苦しい。時計の長い針がようやく一周する頃、まだ一時間しか経っていないことに絶望するほど、私はベッドの上で媚薬の効果に翻弄されていた。頭がぼーっとして気怠いのに、心臓がうるさく脈打っていて眠ることもできない。刺激に敏感になっている身体はほんの少し動くだけで快感を拾って、その度に声が漏れそうになる。
 一時間の間、尾形くんとの会話はなかった。尾形くんに背中を向けるようにして寝ているから表情は見えないけど、視線を感じるのは、私がこんな姿見られたくないと意識し過ぎているからだろうか。尾形くんだって上司のこんなところ見たくないだろうけど。
 
「先輩」
 突然尾形くんに呼ばれて、それだけでビクっと身体をわななかせた。尾形くんの声って艶っぽくて、今聞くと何だかふしだらな気持ちになってしまう。
「どうしたの?」
「大丈夫かと思って」
 尾形くんの方へとそっと振り返ると、私の方を見ないよう部屋の隅へ視線を落としていた。
「うん、平気だよ」
「声、辛そうに聞こえますけど」
「違くてその……身体が熱いの」
 本当は今着ている服を脱ぎ捨ててしまいたい。でも、いくら尾形くんと離れているからってそんなことできるわけなかった。せめて少しでも熱が逃げるようにと、シャツのボタンを胸元まで開ける。ストッキングを抜き取ろうとしたら、生地が肌に擦れる感覚だけで「あっ♡」と声を漏らしてしまった。しまったと思って尾形くんを見遣る。大丈夫。多分気づいてない。
 
「枕元にあるもの、使ったら少し楽になるんじゃないですか?」
 尾形くんがいたく真面目に言った。ゴムと一緒に置いてあるローターのことだろう。正直、さっきからその誘惑に駆られている。濡れそぼった下着の上から震えるそれを押し当ててしまいたいと、思わず手を伸ばしそうになる。
「使わないよ。尾形くんいるのに」
「俺は見ませんよ。声だけ抑えててもらえば」
 私のために言ってくれているのだろうけど、その「好きに一人でして構わない」という言い方がかえって、尾形くんは私に性的な意味では全然興味がないことを伝えてきて悔しくなる。
「平気だから」
「使う時は言って下さい。終わるまで壁のシミでも数えてます」
 今から自慰するね、なんて言えるわけないじゃん! でも、耐え抜くつもりの私を試すように、身体は快感を求めて疼いている。喉がカラカラに乾いている人が水を欲するのと同じ、本能的な欲を極限まで高められているのだろう。
 シーツを掴みながら、五分、そしてまた五分を耐える。これほどまでに時計の進みを遅く感じたのは初めてだった。まるで身体を突き破ってしまうような、抑えきれない欲求。思考を鈍らせる熱に、理性が溶けていく。
 尾形くんに抱かれたい。これっきりでもいいから。
 上半身を起こして振り向くと、尾形くんと視線が重なる。頬を上気させて息を乱す私ははしたなく映っているのだろう。そんなことどうでもよくなるほど、尾形くんににじり寄って跨りたくなる。

「我慢してるなら使ったらどうですか?」
 尾形くんがまた目をそらす。苦しそうな私を目にしても、自分が抱く、とは言ってくれない。尾形くんが私としたくなさそうだから私が飲んだのだ。迫ったって意味ないのに。熱に浮かされながらも我に返った私は、尾形くんにそっぽを向いてベッドに沈んだ。
「そんなに俺に見られたくないですか」
「当たり前じゃん」
「俺が盛ると思ってるんでしょ」
「そうじゃないよ。……一人でしてるとこなんて見られたら、もう尾形くんと普通に話せないよ」
 こんな状況とはいえ、この部屋を出て日常に戻ってからも、尾形くんの記憶には私の痴態がずっと残るのだろう。というか、尾形くんこそ上司のそんなところ見ちたら気まずくなるでしょ。残った理性で考えながらも、私の膣は愛液を絶え間なく流しながら刺激を求めていた。身体の中で暴れているこの熱を逃がしたくてたまらない。もう一つワイシャツのボタンを外そうとして、もたつく指がブラジャーの真ん中を掻いてしまった。中で硬くなっている先端が布に擦れて、微弱な電流が流されたかのような刺激が走る。
「あん♡」
 どうしよう。今度は絶対聞かれた。尾形くんに振り返れない。でも、こんなに気持ちいなら直接触りたくなっちゃう♡ 恥ずかしさよりも気持ちよさが勝っちゃう♡♡
 
「じゃあ目を瞑ってますよ。それか後ろ向いてます」
「ほんとに?」
 返事はほとんど無意識だった。同じ部屋に尾形くんがいる時点で、一人でするなんて無理だと思っていたはずなのに。今の快感で、もっと気持ちよくなりたいという本能を押しとどめることができなくなってる。
「先輩と話せなくなったら俺も困るので」
「飲みに連れて行ってもらえなくなるからでしょ」
「まあ、それもあります。会社の人間関係なんかどうでもいいけど、先輩だけは例外ですから」
 尾形くんも私たちの関係を壊したくないんだと知って、薬の効果とは違う胸の切なさが満ちていく。本当に尾形くんは私のこと好きじゃないの? 私は五歳も上の自分の歳を気にしながらも、尾形くんから心を離せなかったのに。
 
 尾形くんに近づくこともできない身体は、ドアが開くまでの残り時間が待てないほどひたすらに疼いていた。ほんの少しだけ、この熱を逃がせればいい。我慢できなくなった私は、足の間へと手を滑らせる。
「あっ♡♡」
太ももに挟んだ手が濡れた下着の上から蜜口をなぞると、その刺激に背中を仰け反らせてしまった。熱いそこがヒクヒクしてる♡ ほんの少しだけと思ってたのに、一度触ったらもう無理だった。私の指はもっと、もっとと快感を追い求めて蜜口をなぞる。もどかしさに下着をずらして直に触れると、愛液で滑りのよくなった欲の坩堝へと潜った。熱い膣壁が悦んできゅうっと指を締め付ける。おちんちんを挿れられてるみたいに、じゅぽじゅぽ音をさせながらやみつきになったように出し入れする。
「あ♡、あっ♡♡、あぅ♡♡、んん゙♡♡、んっ♡、ぁ♡♡、あ♡♡」
 声は抑えないと、尾形くんに聞こえちゃう♡ そう尾形くんを意識すればするほど、この快感が尾形くんに与えられているものだと錯覚しそうになる。これが尾形くんのおちんちんだったらいいのに♡♡ 尾形くんに突かれてる気になって腰をくねらせながら、中をぐじゅぐじゅ掻き混ぜてる。
「ああ♡♡、んっ♡♡、おがたく……♡、あ、あぁ♡♡」
「俺がいるのに俺でオナッてるんですか」
 
 すぐ後ろから聞こえてきた声に、全身がぴしりと硬直した。滾るような熱がさあっと冷めていく。聞こえてた? そうじゃない。なんで声、こんな近いの? 振り向かなくても、尾形くんが笑っているのが声で分かった。すぐに後ろでベッドが軋む音がして、むこうの壁に寄りかかっていたはずの尾形くんが乗り上げてくる。
「これ使うのかと思ったら自分でやり出すんですもん」
「……見ないって言ったのに」
 目を瞑るなんて言ったのも嘘だったんだ。近づいてくる尾形くんに気づかなかった私は、ずっと後ろから見られていた羞恥で死にたくなって涙が滲む。
「先輩がエロい声聞かせるからでしょ」
 悪びれもしない尾形くんは、私を背中から抱くように寝そべった。一緒にいるうちに好きになっていった尾形くんの匂いがする。腰に硬くなったものを押し付けられると、そのおちんちんに突かれたい中が、悦んできゅっと疼いてしまった。ずっと興味なさそうにしてた尾形くんが、エッチしたくなってる♡ 私が喘いでたからその気にさせちゃってる♡
 
「ほら、続けますよ」
「できるわけないじゃん」
「先輩に飲ませた責任、俺が取りますから」
 尾形くんが枕元へと手を伸ばす。そんなの使われたらダメ♡ 尾形くんにイクの手伝ってもらうなんてダメ♡♡ なけなしの理性で逃げようとする私の腰を尾形くんが引き寄せて、足の間に尾形くんの膝がぐっと入れられた。両腿にできた隙間に、前へと腕を回した尾形くんがローターを押し当てる。
「俺にこうされたくて名前呼んでたんでしょ?」
「あっ♡、ち、違うもん」
「俺がいつも、先輩のこと考えて抜いてるって言ったら?」
 それって。聞き返すより先にカチリというスイッチの入った音がして、微弱な振動が蜜口を刺激し始めた。
「あ♡、んぁ♡♡、ダ、ダメっ♡♡、あっ♡♡、あぁあ♡♡♡、」
 指とは違う無機質なのに甘い刺激に鳴いていると、尾形くんが首筋に唇を寄せた。熱い舌でなぞられて、ゾクゾクとしたものが這い上がって喉を反らす。
「ひぃん♡♡」
「どこも敏感になってるんですね。だからずっとあんあん言ってたんだ」
「言ってないぃ♡♡、あ♡、あっ♡♡、んん♡♡、んぅ♡」
「俺のこと物欲しそうな顔で見て、あんあん言いながら一人でやって。他の男とここ入ったとしても同じことしてたんですか?」
「ちがぅう♡♡、だって♡♡、あ♡、あ゙♡♡♡」
 腰を抱いていた手がシャツの中に入っていく。尾形くんの息の荒さから興奮しているのが伝わってくる。下着の上から膨らみを揉みしだかれる間も、蜜口の刺激は私を快感の渦に落としていった。
 
「あ゙♡あぁん♡♡ちくび♡、コリコリしないれぇ♡♡♡どっちもダメェ♡♡♡」
「どうなんですか? 俺じゃなかったらとっくに襲われてちんぽ突っ込まれてますよ」
「あっ♡♡し、しない♡♡、しないよぉ♡♡♡」
「じゃあ俺とだから?」
「んン♡♡尾形くん♡♡関係ないって言ったじゃん♡♡」
「ええ、関係ないですよ。好きな女を、なんでこんなしょうもないもののために抱かなきゃいけないんですか」
 乳首を虐めていた手が、ローターと紐で繋がったリモコンを握る。途端に蜜口を刺激する振動が強くなった。全身をわななかせてよがり狂う私に、尾形くんが首筋を愛撫する。尾形くんが私を好き? 尾形くんの口から聞いた言葉に喜ぶ余裕もないくらい、絶頂へと押し上げる波に翻弄されている。
 
「あっ♡♡♡、もぉダメぇ♡♡♡、きもぢ♡♡♡、あ゙ひっ♡♡、イクっ♡♡♡、イクぅ♡♡♡」
「ほら、イクなら俺の名前呼んで」
「あぁ♡♡はぁっ♡♡ん゙っ♡♡ぉがたくん♡♡♡」
「誰にイカされるんですか?」
「おがたくん♡♡♡おがたくんに♡♡イカされちゃゔぅ♡♡あ♡ダメ♡♡イッちゃう♡♡♡あぁ゙あああ゙っ♡♡♡あぁあ゙っ♡♡♡」
 ローターがさらに強く震える。陰核に押し当てられると、身体がガクンと跳ねた。絶頂に堪えきれなかった私の秘部から、思い切り飛沫が散る。あんなに尾形くんに見られちゃヤダって思ってたのに……♡イカされて、潮吹いちゃった……♡ 恍惚感の中で羞恥も忘れてぼーっとしていると、尾形くんが私の身体を仰向けにしてその上に跨った。たくし上げていたスカートを抜かれて、ワイシャツのボタンを全部外されると、まだ裸を見せてはいなかった私は今さら恥ずかしくなって胸を手で覆う。
 
「尾形くん? 待って、まだイッたばっかだから」
「言ったでしょ。俺が責任取るって」
 尾形くんに熱っぽい瞳で見つめられていると、唇が重なった。触れ合うだけの甘い口付けにうっとりしながらも、尾形くんの言う「責任」が、時間いっぱいまで私をイカせ続けるということだと分かって、達したばかりの秘部が乞うようにひくつく。そのうちに舌が絡め取られて、口の中を暴くような余裕のない口付けへと変わっていく。口の端から混ざりあった唾液が伝い落ちていって、くらくらしながら受け止めているうちにブラジャーのホックを外された。尾形くんの唇が、首筋から鎖骨へと優しく触れて熱を与えていく。隠すものがなくなった胸を尾形くんが手のひらで包むと、その大きな手で好きなように揉みしだいて、徐々に息を荒くしていった。尾形くんがおっぱいで興奮してる。普段の涼しい顔とのギャップに、私もドキドキしてしまう。唇を寄せて乳首に吸い付くと、甘い快感で身体から力が抜けていった。尾形くんが私のおっぱい、夢中で吸ってる♡ 飴を舐めるみたいにねっとりと舌で乳首を転がされて、一度達してから少し取り戻した理性がまた溶けていく。
 
「ひ♡♡、あっ♡♡、尾形くん♡♡、そんなにおっぱい♡♡、舐めちゃやだぁ♡♡、あん♡♡、あっ♡♡あっ♡♡んぅんん♡♡♡」
「先輩のためですよ。もっとイかせないと楽になれないでしょ?」
「きっ♡♡きもちいのっ♡♡つよすぎうからダメぇ♡♡♡、あ゙♡♡♡、噛まないれ♡♡♡、またイク♡♡、ふぅ♡♡、へあ♡♡♡、あ゙ぁああ♡♡♡♡」
 乳首を甘噛みされて、呆気なく達してしまった。私のためって言いながら、尾形くんの目は私を自分の手でイカせることを愉しんでいた。「乳首だけでイケて偉いですね」って私を褒める尾形くん、見たことないくらい調子に乗ってる。そんな彼に反抗すること、今立場が逆転している私にできるはずもなく。尾形くんが両脚を開いて、そこへ顔を近づける。何をされるのか分かった私は襲い来る快楽に怖くなって脚を閉じようとしたけど、かえって尾形くんの頭を押し付けるような体勢になってしまった。ひくつく蜜口に舌が這う。はしたない音を立てながら愛液を吸われていく。ざらざらとした熱い舌の感触をおまんこで感じながら、私は尾形くんの髪を掻き乱して泣き叫んでいた。
 
「あ゙ぁああ♡♡!!、もおイッだ♡♡、イキまひた♡♡♡、ん゙んん♡♡♡し、しんじゃうぅ♡♡♡、あ、指、ダメ♡♡♡、そんな、激しくしなっ♡♡♡ あ、ああああっ♡♡♡んっ、んんん♡♡、ぁ♡♡、ひ♡♡♡」
「腰ヘコヘコさせて説得力ないですよ。ほら、連続でイッてるの分かりますか?」
「わかっ、わかぅから♡♡♡、あっ♡♡♡、お゙♡♡、おまんこぐちゅぐちゅされてっ♡♡♡、イキっぱなしだから♡♡♡、とめてぇ♡♡♡♡」
 私がいくら懇願しても、尾形くんは執拗な愛撫をやめなかった。長い指が中で曲がって気持ちいいところを突くたびに達して、尾形くんの舌がクリトリスを掬うとまた潮を吹いた。私を見上げる尾形くんの、意地悪なのに甘い視線を捉えると、それだけで絶頂に近づいてしまう。でも、いつまで経っても尾形くんは前戯しかしない。早くそのおちんちんがほしい私はもどかしくなって、喘ぐ最中で尾形くんの名前を切なげに呼んだ。
 
「最後まで、しないの?♡」
「してほしいですか?」
 尾形くんはしたくないの? 視線を下へと向けると、尾形くんのそこはズボンの外から見て分かるくらい張り詰めていた。
「うん」
「嫌だから先輩、自分が飲んだんでしょ」
「そうだけど……尾形くんさっき、私のこと好きって」
 尾形くんがバツが悪そうに黙って、私を貪っていた体勢から起き上がる。シャツも髪も少し乱れていたけれど、照れる姿はいつもの尾形くんに戻っている気がした。
 
「そうですよ。こんな流れじゃなくて、ちゃんとそういう関係になって抱きたかったから。俺が飲んで何もしないつもりだったのに」
 開き直ったように言うと、手のひらで顔を被ってしまった。あの時「関係ない」と言った尾形くんの真摯な想い。エッチするなら両思いになりたいと考えた私の思惑とは違ったけど、それはひとえに私を大事にしてくれてる故だった。胸を打たれた私は、腕を伸ばして尾形くんの手に指を絡める。
「私も、尾形くんのこと好きだから、尾形くんならいいって言おうと思ったの」
「やめてください。マジで止まらなくなりますよ」
「いいよ。尾形くんとエッチしたいってずっと思ってたから、我慢されたくない」
 観念したのか長いため息をついた尾形くんが、私の頬に触れると優しいキスを落とした。シャツを脱いで、ズボンとボクサーパンツを下ろすと、赤黒く反り立ったものが弾みをつけて飛び出して、私は無意識に見つめてしまう。
「見すぎですよ。そんなに俺のちんぽ欲しかったんですか?」
「うん……尾形くんのおちんちん欲しい♡」
「じゃあ今度はこれでたくさんイかせてあげますから」
 ゴムをつけた尾形くんのおちんちんがおまんこに宛てがわれて、滑らせるように入口で上下される。「あ♡♡、あっ♡♡」と情けない声をあげる私の反応を愉しむように尾形くんは焦らしていたけれど、おちんちんを擦られているだけで私が達しそうになっていることに気づくと、両腿を抱き上げて思い切り中を穿った。中の壁がぎゅうっと尾形くんを熱い自身を締め付ける。視界にバチバチっと白い閃光が散った。
 口をはくはくさせている私の上で尾形くんも苦悶した表情を浮かべていたけど、少しすると腰を前後に動かし始めた。指とは比べ物にならない質量が中を突いてる。じゅぶじゅぶと水音を立てながら私たちの肌はぶつかって、その度に前戯とは違う深い絶頂へと押し上げられる。
 
「あ♡♡、しゅごい♡♡♡、あっ♡♡♡、あつぃ♡♡♡、あっ♡♡、きもち♡♡、イッちゃ♡♡、あっ♡♡、あ♡♡、あんん♡♡♡♡」
「ここ、気持ちいとこでしょ」
「あ゙ンンン♡♡♡、ぐりぐりしなっ♡♡♡、あっ、あ゙あぁ♡♡♡♡、あっ♡♡、はぁ♡♡、あっ♡♡、んっ♡♡、まだっ♡♡、まだイッてるから♡♡♡、ゆっくりして♡♡♡」
「ちんぽで突かれるの、そんな気持ちいいですか?」
「んう♡♡♡、きもちいのっ♡♡♡、ずっときもちくて♡♡♡、あっ♡♡」
「ほら、見えますか? こんな美味そうに咥えてますよ」
 尾形くんが私の両脚を私の方に倒すようにして、繋がってるところを見せつける。ずぽすぽ前後しているおちんちんと、悦んで締め付けてるおまんこ。おっぱいを鷲掴みにされて乳首を弾かれると、中が尾形くんの自身から搾り取ろうと一層締め付けてしまう。
「あっ♡♡♡、やだぁ♡♡♡、おくっ♡♡トントンダメっ♡♡♡、お゙♡♡♡、ぁああ♡♡♡、やらやらっ♡♡♡♡、ひくっ♡♡、あっ♡♡、一回とめて♡♡♡、とめて♡♡♡」
「ダメですよ。自分の男のちんぽの形、ちゃんと覚えなきゃ」
「あっ♡♡、え?♡♡、男って♡♡、あんっ♡♡、おがたくん♡♡、彼氏になってくれりゅの?♡♡」
「は? 逆にここ出たらなかったことにするつもりですか?」
「んお゙っ♡♡♡、ひがうっ♡♡、ちがいますっ♡♡♡、つきあうっ♡♡♡♡、ごめんなさしゃい♡♡♡、つきあうから奥っ♡♡、ごちゅごちゅしないれっ♡♡♡♡、あ゙っ♡♡♡、イクっ♡♡♡、イグっ♡♡♡♡」
 子宮の入口が何度も叩かれて、また視界に火花が散る。種付けプレスされてる♡♡♡、また涎垂らしながらアクメしてる♡♡♡
 
「もう他の男とじゃ、満足できないですよね」
「んっ♡♡♡、あっ♡♡、あん♡♡、むり♡♡、お♡♡、おがたくんとじゃないと♡♡、イケないぃ♡♡♡」
「俺のこと好きですか?」
「うんっ♡♡、すきっ♡♡♡、おがたくんしゅき♡♡、すきぃ♡♡♡♡」
 尾形くんが覆い被さって唇が重なる。舌に口の中を掻き混ぜられて、脳みそが溶けてくみたいに何も考えられなくなる。尾形くんのキスきもちい♡♡ 両思いのラブラブエッチきもちい♡♡♡
 
 唇を離した尾形くんがもう我慢ならないように、引いた腰をバチン!バチン!と打ちつけ出した。私は絶叫しながら、間もなく達しそうな尾形くんに揺さぶられている。尾形くんの汗が触れ合ったところから私に伝っていく。
「ひっ♡♡、ぉがたくん♡♡、おがたく♡♡♡、あ♡、イグっ♡♡、イグイグ♡♡♡、イッちゃう♡♡♡♡、あ゙あぁああ♡♡♡♡!!」
 歯を食いしばった苦しげな表情で絶頂を追いかけた尾形くんは、一番奥へと思い切り突いて私を昇天させると、眉を寄せて呻いたあとに小さく震えた。中で尾形くんの熱がびゅるびゅると放たれてる。一番大きな絶頂の先で襲ってくる、気だるさと圧倒的な恍惚感。満ちた気持ちで尾形くんの頭を撫でると、今まで私を猛々しく抱いた男は甘えるように肩に顔を埋めた。
 

 しばらく尾形くんを抱きしめたままの体勢でいた私は、視線の先の扉が開いていることに気づきて尾形くんの肩を揺すった。顔を上げた尾形くんが全開になったドアを見つめている。時計の時間は、三時間をとっくに過ぎていた。ここからずっと出られないのではと焦っていたのに、最中に二人とも開いたことに気づかなかったのがおかしかった。
「開いたね! よかった。これで帰れるのかな?」
 
 本当に開いたという安堵と、ここを尾形くんと恋人になって出れる嬉しさがぐったりとした気だるさを軽くしていた。尾形くんが何も言わずに私の中から自身を抜く。その感触に少し声を漏らしてしまったけれど、私も脱いだ服を拾ってここを出る準備をするはずだった。でも、起き上がった私は、瞬く間に私を押し倒した尾形くんによってベッドに沈んでいた。私に跨る尾形くんが枕元に手を伸ばす。新しいフィルムを開けて、すっかり硬さを取り戻しているそこにつけていく。
「尾形くん、……部屋出ないの?」
「あんなに煽られて、一回で終わるわけないでしょ」
 まだ濡れそぼったままのそこに、熱いおちんちんがズブズブと埋まっていく。あ、ダメ♡ イキまくったおまんこ、感じやすくなっててダメ♡♡ 容易く全部入ったおちんちんに怖くなって腰を引こうとしたけど、尾形くんが私のと肌を密着させるように覆い被さると、ベッドごと揺らすような激しい律動を始めてしまう。
 
「あ゙っ♡♡♡、ダメっ♡♡、はげし♡♡♡、ん゙っ♡♡♡、もうイケない♡♡もうイケないからぁ♡♡♡、あぁ♡♡、へぁ♡♡、お゙♡♡♡、そこダメっ♡♡♡、もおダメ♡♡♡♡、ゆるじでぇ♡♡♡♡」
 媚薬はドアが開いた頃に抜けているはずだった。でも、さっきまでと変わらず快楽に狂う私を、尾形くんが愛おしそうに見つめながら貪っている。媚薬を飲んでいないはずの彼が満足するまで、私たちは枕元にあったゴムを使い切るしかなかった。




冷たいラブロマンスを抱いて眠る