降谷暁

「はい、完成ー。」

降「…っは…ありがとうございます。」

「何しれっと起きてましたオーラ出してるの。
 最初の方から寝てたでしょ、わかってたよ。」



既に恒例となり始めた降谷への爪のケア教室。
最初の爪事件から何となく流れで塗ってあげている。


当の本人は学ぶ姿勢はおろか、いつもバッチリ寝ているけど。



しかし今さっきできたばかりの爪の手を上の方に挙げて「おー」と、どことなくうれしそうな彼を見ると私もやったかいがあったとうれしく感じる。




「でもそろそろ自分でできるようにもしないとねー。」

降「え」



あからさまに嫌だ嫌だとオーラをかもし出す降谷。
しまいには首を振ってアピールしてきた。



これにはついため息がこぼれる。




「面倒くさがらないの。本来自分のことは自分でしなくちゃ。私が毎回やるわけにもいかないでしょ。
 ああ、春乃にも教えるように言っとかなきゃかなー。」

降「…菜穂先輩がいい…です…。」




まさかのご指名。

そりゃなついてくれればうれしいけどねー。
かと言ってそれで全部やってあげるってのは訳が違う。




「たまにだったらやってあげるから、ちゃんと自分でも覚えて、ね?」



すると彼はコクンと頷いてくれた。

ああ、もう可愛いな本当に。



感情の浮き沈みも激しく、口には出さないものの沢村並みにプライドも自分の意志も持っている。

そして素直でいい子だというのがこの短い期間でも理解できた彼の印象だ。




食堂の外からはまた沢村の「御幸一也ぁぁぁぁ!!!」なんて声が聞こえ、「またあいつは…」と呆れてしまう。

すると何を思ったのか急に降谷が私に改まって話しかけてきた。



降「菜穂先輩…」

「ん、どーかした?」

降「あの…この爪って…僕のほかには…」



途中までだったけど何となく彼の言いたいことがわかり、体ごと彼の方へと向き直りにっこり笑って言った。



「降谷にだけだよ、これやってるのは。特別。」




それを聞くといつもはオーラだけであまり表情は変わらない降谷が頬を緩めてうれしそうにした。
満足してくれたようで安心した。



しかし、


降「他の人にやったら嫌です。」







◇球も重ければ愛も重い◇







「春乃だけじゃ大変だから一回は沢村にもやらないと…」

降「ダメです」

「…独占欲強くね?」

降「そんなんじゃないです、勘違いしないでください。」

「上げて落とすって…ツンデレなの!?」

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