戦闘開始

『来たぞ!!』


その言葉に弾けるようにして気持ちが浮上する。


場所を無線で聞くと、事務所から割と近い場所で挑発的なエンジンに苛立ちを覚える。


「すぐ向かいます、プロヒーローやサイドキック達も現場に出来るだけ」


『いや、それが……!!』


「…………何かあったんですか?」


『っクソ!!こいつ、……ぐあっ。』


「!?……先輩!?先輩、何が!!」


「どうした、ヒーロー名!!」


「応答が途切れた……最後には呻くような声まで……。」


「まさかエンジンに……?」


「わからない……けど、とにかく現場へ急行。一緒に来て、バーニン。」


「あぁ!!」





「…………何これ。」


無線で聞いた場所に来ると、そこにはヴィランとうちのサイドキック達が応戦中だった。


しかしヴィランの人数が圧倒的に多く、こちら陣営が押され気味だった。


「あ?やっと来たなヒーロー名!!待ってたぜ?」


聞こえた声にバーニンを連れて攻撃を避けると、そこに突き刺さっていたのはいつかの針状の水。


「…………あいつらは。」


「ん?俺の仲間!ほら、俺達って現代社会から見たらゴミみたいなもんだろ?」


「………………。」


「でもゴミみたいな扱いされてもさ、納得いかない連中って案外多いんだよ。ほら、ここにいるヤツらはみんなそう。」


「…………だから?」


「だから、俺達は思うのさ。俺たちをゴミ扱いするヒーローに卑怯でもなんでも良いから一矢報いたいってさ。」


「それで、俺たちが目をつけたのはエンデヴァー。ナンバーワンを倒したら、世間がどう思うか。どれだけ俺達に注目するか!!想像するだけで楽しかったね。」


「それで俺達は成功した。お前らは俺がエンデヴァーにちょっかいかけ続けてるだけにしか見えなかっただろうけど、よく考えてみろよ?なんで他のヒーローは来なかった?サイドキックも駆けつけなさ過ぎだろ!?」


その言葉に、私は声を失う。


そういう事、だったのか。


要するにエンデヴァーの前にこいつが現れてた時、他のプロヒーローやサイドキック達はこいつの仲間達が足止めしていたと言うこと。


こちら側は関連性なんて知らないから、全てそれぞれで現れたヴィランとして事件の処理をしていた。


…………完全に、出し抜かれていた。


「その結果!!俺はエンデヴァーを病院送りに!!お前もな!ヒーロー名!!でもな、俺たちの大切な仲間。ファイアをお前らにやられた。…………この仇は討たなきゃなんねぇ。だから今日はお前だヒーロー名。」


「…………今回も、プロヒーロー達は足止めされてる、と。」


「勿論!!お前と駆けつけたプローヒーローをまとめて倒せるほど俺は自分の力を過信してねぇ。俺は俺の仕事を。あいつらはあいつらの仕事を。…………そんで今日もお前を病院送りに、…………なんなら殺して!!明日の新聞一面!!俺らとお前の話で埋めてやろ」


言い切る前に拳を奮う。


「バーニン、ここに来れる人少なそうだから民間人の避難を。」


「でも……あんた1人じゃ!!」


「…………信じて、バーニン。」


眉間に深い皺を寄せ、何かを言いたげな顔をしているバーニン。


「…………わかった、無理だけはしないでよ!!」


「うん、ありがとう。」


バーニンを見送り、目の前に立つエンジンと向き直った。


そしてこの時、多くのメディアを通して雄英の皆や、轟家の皆。エンデヴァーや、焦凍くんに見守られながら、私達の戦いは始まった。

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