決勝トーナメント

尾白くん達の棄権などもあって入れ替わった上位16名。


くじを引いて、発表されたトーナメントを見ると初戦は八百万さん。


うっわぁ……賢い子来たぁ…………。


正直どのように私のゴリ押しが攻略されるのか想像もつかない。けど、負ける訳にはいかない。


私には負けられない理由(ペナルティ)があるのだから。





「洗脳ってもはや無敵やない!?」


「無敵…………。」


母の誘惑も洗脳に近いだろう。そう言われれば確かに無敵に思える、母の誘惑に抵抗出来た人は見たことがない。


そうなるともう自分の意思で動けなくなる。洗脳も同じだろうか、そうなると無敵…………だよなぁ。すっごい。


「でも凄いね緑谷くん、自力で勝ったよ。しかも背負い投げ!!」


「かっこいいわね、緑谷ちゃん。」


「ねー!」





「うわぁ、初戦で轟くん相手とか嫌すぎるな……。」


「そうね…………と言ってもお茶子ちゃんも……。」


「…………まぁまぁ言わずもがな。」


お茶子ちゃんを見ると、既に目は据わっていて。あっ。と何かを悟る。


「おっ!!瀬呂先制!!」


「やったれ瀬呂ー!!下克上じゃああ!!」


盛り上がる男子たちに乗っかって、なんなら心の底からの願いを込めてやったれええ!!と声を上げるが、


「…………ヒョエッ。」


黙らせる。黙らせられた。その大氷壁によって。


弱者が騒いでんじゃねぇ。なんて意思が伝わってきそうな程の大氷壁。いやたぶん彼はそんなこと思ってないだろうけど。さっき話して案外優しい人だったし。


けれどそれ程までに圧倒された。この場にいる人間1人残らず。


…………ひえぇ、……勝てる気しねぇぇ…………。


私も彼と対峙したら、逃げる間もなく瀬呂くん同様氷漬けだ。そして今彼に贈られているようなドンマイコールが贈られる事だろう。…………辛過ぎる。





「じゃあそろそろ控え室行ってくるね。」


発目さんの面白過ぎる飯田くんとの鬼ごっこを見届け、観覧席を立ち上がる。


「行ってらっしゃい!頑張ってきてね、美悪ちゃん。」


「頑張って!!」


「うん、ボコボコにしてくるよ!」


敵とは言えクラスメイトをボコボコにするって言っちゃう奴って、道徳的にどうなのかな。





控え室に着いて、八百万さんの個性について改めて考える。


しかし、創造なんて言うなんでもありな個性過ぎて考えたって無駄なんだよなぁ。何出してくるかわからないし。


正直ミラーボールとか出されたらしんどいかもしれない…………弱点知られてないからよっぽど無いけど。


3位以内、ばあちゃん、ペナルティ、八百万さん。何を考えても胃が痛くなるばかり。こんな緊張状態になってしまっている時点で、恐らくクラス最強である轟くんとの距離は計り知れない。


だって彼は開始数秒であの大氷壁だ。緊張なんてしていなかっただろう、むしろする奴がおかしいんじゃねぇか?とか言いそう。言う、絶対言う。あのおすまし顔で絶対言う。


はぁぁ……私もそっち側の人間になりたいよ。緊張?何それ。する方がおかしいんじゃない?とかおすまし顔で言ってみたいよ…………。


願望は願望であって、未来ではない。つまり私は何も変わらない。今にも吐きそうだし、胃は痛い。


だけど時計は止まってくれなくて、呼びに来た先生に驚き思わず吐きそうになるまであと少し。

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