「いつまで寝とるつもりだ美悪!!」
「……………………おはよう、ばあちゃん。」
「おはよう。今何時だと思う?」
「…………8時?」
「残念、12時だ。早く起きろ!!」
「ぎゃっ。」
ベッドから引きずり降ろされ頭を強打。こりゃ細胞が大量に死滅したな。また馬鹿になった気がする。
体育祭の翌日、今日は振替休日だ。昨日は散々個性使って疲れたし沢山寝たかったのに。
「休みの日こそ、鍛錬を欠かすな!!午前寝過ごした分昼から取り戻せ!」
で、……ですよねー……。
◇
「良いか?お前の兄さんは1年の体育祭時点でシュトリの会得が出来ていた。勿論体育祭でもシュトリとサタン、両方を使って活躍したのだ。…………しかし美悪、まだお前はサタンしか使えておらん。」
がみがみ。いつも言われるお話だ、兄ちゃんの方が優秀でシュトリも早く使えるようになっていたと。
「……わかってるよ、少しは焦ってる。」
シュトリ、と言うのはサタンがオールラウンダーならばパワーに偏った形態だ。もう1つハルファスというのもあって、これはスピードに偏った形態。
どちらも私はまだ安定して扱えない、とは言ってもうちの家系は基本的にはサタンしか使えなかったり、母さんのように何か1つしか会得出来ない事ばかりだ。
ばあちゃんと兄ちゃんが特殊なのだ、ばあちゃんは家系史上初のサタン、シュトリ、ハルファス。全てを使えるようになった人なのだ。
そして兄はサタン、シュトリ、アレグリアという元々家系内での発現の可能性はあったが、ばあちゃんも使えなかったシュトリの上を行くパワー系形態を会得している。
でもただ2人だけ。たった2人だけ。…………私おかしくないよなぁ。
とは言え発現が完全に出来ない、というわけでもなく数秒ならシュトリもハルファスも扱えた。しかし安定が出来ない。
それを今も尚ばあちゃんには鍛錬不足だ!と怒られている、正直私も母さんみたいに1つしか発現出来なかったら良かったのに……なんてことは星の数ほど思った。
しかし出来てしまったものは仕方が無い、今日も厳しく飛ぶばあちゃんの声とともに人間を辞めるのだ。
◇
「……うん、少しはマシになって来たな。流石雄英、今も尚厳しく生徒達を鍛えてくれているようだ。」
満足気に微笑んだばあちゃんを見て、やっと一息つく。
確かにばあちゃんの言う通り、持続時間が確実に伸びている。それに威力だって上がっているし、思うがままに操れた一瞬もあった。
……ちゃんと、成長してる。
「……ばあちゃん、もう1回!!」
意識を集中させ、シュトリを纏う。
「……あぁ、かかっておいで。」
ばあちゃんは完成されたシュトリを纏って私に笑った。