「ははは!元気でよろしい!」
…………やっぱり、ここからばあちゃんの声が聞こえる。
扉を開けようとすると先に扉を開かれて驚く。
「おや、起きたのかい。」
「……ばあちゃんの張り手が効いたみたいでね。」
「寝てると思ったんだが?」
「看護師さんに聞いたの!!」
「夜魔さん!?」
「夜魔くん!?」
「お前、歩いてて大丈夫なのか……?」
ばあちゃんの後ろを覗くと、立ち上がってこちらを心配している3人。
「ごめんね心配かけて!全然平気。痛いのは腕だけ!」
「そ、そっか……。」
「…………警察の人からの話は?」
「聞いたよ、起きてすぐ。……大変なことをしちゃったね、私たち。」
公表は出来ないから私たちの判断や行動は伝わらない。でもそうしないと処罰は免れない。
人として当たり前のことをするのにも、ただの人間では駄目なのだ。その為のヒーロー免許。
「……エンデヴァーに悪いことをしちゃったな。」
怒られること間違いなしだ。絶対怖い。覚悟しておかないと……。
「ヒーロー免許も持たない人間が個性を使うのはヴィランと同じこと。……でも、だからと言って人を助けなくて良い訳じゃあない。」
ばあちゃんを見ると、いつものように歯を見せて笑った。
「だから、早くヒーロー免許を取りな。誰にも文句を言われないように。」
「………………うん。」
雄英で、もっと強くならなくちゃ。
今回だって完全に私は生かされた。飯田くんのように殺意を向けられた訳じゃない。
…………もっともっと強くなって、必ず助けられる。そんなヒーローに。
「じゃあ私は帰るよ。退院して体が動くようになったらシュトリの維持訓練だ。」
「……え?なんで知って、」
「この子らから聞いたよ。……成長してるじゃないか、更に上を目指すよ。覚悟しときな。」
そう言い残したばあちゃんは颯爽と出て行った。
「き…………緊張したぁ……。」
「え!?」
肩の力を抜いた様子の緑谷くんと飯田くんに驚く。な、なんで。
「ば、ばあちゃん何か変なこと言ってきた!?ごめんね!?」
「い、いや!違うよ。ただ……威圧感と言うか、強者!!って感じがしてなんか…………。」
「自然と肩に力が入ってしまってな…………ふぅ。」
「そっか…………皆は怪我どう?大丈夫?」
「飯田と緑谷はそれなりに重症だ。俺は大したことねぇ。」
「ちょっと痛みがあるけど、大丈夫だよ!それにしても全員無事で本当に良かった。」
「そうだね……この調子だと職場体験に戻るのはもう無理かなぁ。」
「親父には俺から言っとく。俺はすぐ戻るから。」
「……ごめん、お願いします。」
「あぁ。」
中々に苦い経験となってしまった職場体験。
経験したかった、見学したかったエンデヴァーの動きは全く見ることは出来ず、
出来たのは、クラスメイト達との共闘と殺人犯との対峙。
増えた傷と流した血。警察からの警告。中々に苦い思い出となってしまった職場体験だった。