「おはよ」
「おはよう!!!美悪ちゃん大丈夫やった!!?」
「ニュースで見てびっくりしたわ……エンデヴァー来てくれて良かったわね……!!」
「う、お、おぉ。」
教室に入るとすぐにお茶子ちゃんと梅雨ちゃんが駆け寄ってきて、職場体験での出来事について触れた。
エンデヴァーが来てくれて……そうか。そういう事になっていたんだった。
ちらり、と轟くんの方を見ると緑谷くんと飯田くんも固まっていて、3人とも静かに頷いた。
「……うん、本当に。来てくれて助かったよ。」
「大丈夫だった!?怪我沢山負ったって聞いたけど!!」
「大丈夫大丈夫!ちょっと血を流し過ぎただけで、」
「それは大丈夫とは言わないわ、…………大量に血を流すほどの大怪我を負ったのね。」
大怪我。……と言うよりは捨て身の拘束だったので、怪我しに行ったようなものだ。私はあくまで生かされた訳だし。
「……それしか無くって。まだまだ未熟だなぁと感じたよ。なんにも出来ないどうしようもない奴だって思った。」
3人とも必死になって戦って、痛みや恐怖を乗り越えていた。
でも私は痛い怖いがずっと付き纏っていて。最初に対峙したのが私だったら奴を食い止めることすら出来なかったかもしれない。
…………まだまだだ。
「だから今日からまた頑張るよ!!肉体的にも精神的にも!!」
◇
「はい、私が来たーって事でね!今日のヒーロー基礎学はちょっとレクリエーションも含めた演習にするよ!」
オールマイトの言葉に首を傾げると、内容を説明し始めた。
どこかで救難信号を出しているオールマイトの元へ誰が早く辿り着けるか、と言うレース。なるほど、競って楽しむレクリエーションって事か!
「それじゃあ順番にやってくよ!」
そして最初の組に選ばれた緑谷くん、三奈ちゃん、尾白くん、瀬呂くん、飯田くん。
「飯田、まだ怪我完治してないんだろ?見学すりゃいいのに。」
「クラスでも機動力良いやつ固まったなぁ。」
「強いて言えば緑谷さんが少し不利かしら……?」
「確かにねぇ、ぶっちゃけあいつの評価って未だによくわかんないんだよね。」
確かに……怪我ばっかりしてるイメージだもんなぁ。
「美悪ちゃんはどう思う?」
「えっ?」
皆が各々誰が1位になるか考えているとお茶子ちゃんに聞かれる。
「うーん……私も瀬呂くんかなぁ、私だったらやっぱり空から見るのが1番よく見えるし。」
「確かに…………ってこの演習美悪ちゃん有利過ぎん!?」
「あ、バレたか。」
密かにオールマイトの説明を聞きながらにんまりしてしまっていた。高く飛べばすぐに見つけられるし、道とか障害物とか関係無しに一直線。
「ずるいよー!!」
「お、同じ組にならない事を祈っておくんだね!!ほら!始まるよ!!」
ぽかぽかと殴ってくるお茶子ちゃんを宥めてモニターに集中する。すると、
「ほらぁー!やっぱり!!瀬呂が1位!!こういうごちゃごちゃしたところは上から行くのが定石ー!」
「……やっぱり!」
この様子なら私も良い成績が……って、
「「み、緑谷あああ!!?」」
思わず目を見開いてモニターに釘付けとなる。電光が走っているかのような風貌、そして軽々と飛び回るその動き。
……あ、あんな動き…………?え?
「と…………轟くん、轟くん!」
慌てて後ろの方で立っていた轟くんの元へ向かい、服の裾を掴む。
「お、」
「何あの動き……?ステインと戦った時あんな動きしてたっけ……?」
こそ、と周りには聞こえぬよう顔を近づけて聞くと考え込むような仕草をする轟くん。
「……よく考えてみれば、攻撃を繰り返した時も怪我してなかったし、…………たぶん。」
「そ、……そっかぁ……全然気づかなかった。」
「あぁ、俺もだ。いつの間にあんな動きを……。」
ぴょんぴょんと管から管へと飛び移る緑谷くん。まるでその姿は……爆豪くんのようで。
彼の中での機動力、のイメージは爆豪くんなのだとこれを見てればすぐにわかった。
凄いな緑谷くん……瀬呂くん抜いてこのまま行けば、
「「あ。」」
思わず轟くんと声を揃えてしまう。つるり、と足元を滑らせた緑谷くんはモニターからフェードアウトした。