一面

「良い?母さんとエンカウントしても出来るだけ早めに逃げてね。」


週末。駅にて轟くんと麗日さんと待ち合わせてやって来た夜魔さんの家。


大きく、そして立派なお宅だが錆やコケなどから劣化も見られ、中々に古くからあるお宅なのだとわかる。


インターフォンを押して出てきた夜魔さん。初めて見る私服姿に胸を高鳴らせてしまうのは仕方ない事だと思う。もちろん麗日さんの時もちゃんと高鳴ってしまった。


そしておはよう!の次に言われた言葉がこれだ。どんな注意事項……!?


「なんでだ?」


隣に立つ轟くんが首を傾げながら聞く。彼もまたシンプルな服装だが非常に良く似合っていて、イケメンって凄いなぁ。と思わされる。


「轟くん……イケメンだね…………。」


それをふむふむ。と頷きながら言葉にしてしまう夜魔さんはある意味凄い。


「母さんはすぐ誘惑使っちゃうから、それでからかわれたりするの。だから気を付けて?私からも部屋から出てこないでって言ってるけど……言うこと聞く人じゃないからさ。」


「わ、わかった。」


「ばあちゃんとかもいるけど、気にしないで!それじゃあどうぞ!」


「お邪魔します!」


「お邪魔しまーす!」


「お邪魔します。」





「……轟くん、これ教えて。」


「どれ?」


「これ……。」


「…………これは、」


ふむふむ。と轟くんの解説を聞く。そして思う、本当に賢いなこの人は。


隣でお茶子ちゃんも緑谷くんに教わっているが、彼もまたお茶子ちゃんが聞いた問題をさらさらと読んですぐに解説している。超賢い。


「おい、聞いてるか。」


「あ!!ご、ごめん。」


「集中しろよ。お前……その、…………頑張らねぇと。」


微妙に濁した風になってるけど、濁せてないよ?轟くん?


「ごめんね、想像を遥かに超えてくる馬鹿で……。」


「いや、そんなんじゃ…………ただ、たぶん俺も八百万みてぇに夜魔は大袈裟に言ってるだけでそこまでじゃ、って思ってたみたいだ。」


うん、それはもう思ってたよりお前馬鹿だったわ。って言っちゃってるけどな??


「申し訳ない!!頑張ります。」


「あぁ。お前筆記さえ乗り切れば大丈夫だろ。」


「そうだねぇ……拳動さんが言ってた通り体育祭みたいなロボなら、負ける気はしないけども!」


「確かにな。」


「体育祭の時の轟くんやばかったよね、一体丸々氷漬けにしちゃってさ。空から見ててもビビったよ私。」


そしてゾッとしたよね、この人やばいって。


「……お前だって片腕で掴み倒して終わりだっただろ。似たようなもんじゃねぇか。」


「見てたの!?」


「軽くな。お前は早く突き放したかったから。」


「て、敵対視…………。」


「当たり前だろ、お前の個性は厄介だ。」


「私あの時轟くんに絶対嫌われたなって思ったよ。」


「は?」


「舌打ちされたし、睨まれたし。」


そして最終的には決勝トーナメントの瀬呂くんとの戦いを見て、あっ殺される。とまで思ったよ。証言はお茶子ちゃんがしてくれるよ。


「それは…………勝つことだけ考えてたから。……そんな、嫌いとかそんなんじゃねぇ。」


「あ、うん!もう今はわかってるから大丈夫だよ。あの時別に嫌ってた訳じゃないんだなってわかってるし、」


「今でも嫌いじゃねぇ。」


え……く、食い気味!!


「わ、わかってるって。轟くんもそういうの気にするんだね!?」


他人から嫌われたら……とかそういうの気にしそうに無いのに!?


「……友達に嫌われたら、嫌だろ普通。」


む。とした様子で言った轟くん。ま、丸くなったなぁ……仲良しごっこじゃねぇんだとか言ってたのに……。


「それもそうだね!!」


思わぬ一面を発見した勉強会。


もちろん勉強もきっちりと教わって、


「轟くん!!教わったところ沢山出たよ!!」


「あぁ、ちゃんと解けたか?」


「解けた!!ありがとう!!」


後日行われた期末テストの筆記試験も無事乗り切った。

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