きゅるるるる。
あ、やば……またお腹下しそう…………。
なんて青ざめると、脳内のばあちゃんが情けない!!一々そんな事で弱ってんじゃないよ!!とキレ倒してる。想像でさえ怖いとかやばいなばあちゃん。
1-A。そう書かれた教室の前で立ち止まり、深呼吸。
結局エンデヴァーの息子さんとは話せなかった推薦入試。
彼の名前すら知ることが叶わなかったので、同じクラスの推薦枠、かつ男の子っぽい轟くんがエンデヴァーの息子さんかどうかもわからない。普通に違うかもしれないし、ワンチャン落ちちゃったなんて可能性だってあるし。
もう彼のことは諦めよう……さようならエンデヴァーの息子さん…………友達第1号として仲良くしよう作戦は始まることなく幕を閉じた。
そして新たなる友達第1号作戦は、今ここから始まるのである。
再び深く呼吸をして、静かに教室の扉を開けた。
◇
「う、わぁ………!!あの子めっちゃ可愛いねぇ。」
「うむ、確かに整った顔立ちをしているな。」
麗日さんに言われて見ると、静かに、そして凛として歩き座席表を眺めている女の子。
そして席を見渡すようにこちらを振り向いた時、確かに。なんて言葉さえ言えなくなるほどに整った顔立ちで、目が合った訳でもないのに顔が熱くなる。
さらさらと揺れる色素の薄い髪を耳にかけて、また前を向いて座席表を眺めた。
するとそこへ1人の女子が話しかけて、彼女は応える。
なんとも整い過ぎていて、話しかけることさえ阻まれるような彼女。しかし話しかけられ、彼女は当たり前のように目を細め、口角を上げて笑った。
「う、わ……。」
可愛い。まるでアイドルのように可愛い。
でもここはヒーロー科だ。そんな彼女も戦うのか?一般入試ならあのロボットと戦っているはず。
話しかけた女子の指さす方向へ歩き、席に着いた彼女。
………………え、あそこって……。
「あそこは……夜魔さんって子の席だね…………って推薦入学者!?」
「な、なんと…………。」
「……み、見た目で判断しちゃ駄目だね……。」
僕達は口をあんぐりと開けて、今も尚楽しそうに笑う彼女を見つめた。
◇
………………?あれ、これどっちが前だ?
教卓。と言うのが書いてなくて非常にわかりにくい。自分の席が前から何番目なのか全然分からない。
こうして座席表の前に来て首を傾げ続けている私は、さぞ滑稽だろう。誰も見てませんように……。
そう願いながら、座席と表を照らし合わせようと振り返ると感じた多くの視線。
え……う、うわあああ!!?は、恥ずかしい…………なんで!?めっちゃ見てくるじゃん……なんかした!?い、いや、おかしなことはしてたけど、別にご迷惑はかけてないし、
軽くパニックになりながら、再度表を眺める。び、びっくりした……。
「あの、」
「!!?」
勢い良く声のした方を振り向くと、長い髪の女の子。
「初めまして、私蛙吹梅雨と言うわ。梅雨ちゃんと呼んで?……何か困っているの?」
「あ、……私は夜魔美悪です。よろしくね!梅雨ちゃん。その、自分の座席がよくわからなくて……。」
「よろしくね、美悪ちゃん。……えっとこれ分かりにくいんだけれども、こっちが前よ。だから美悪ちゃんの席はあそこ。」
「あ、そうだったんだ……ありがとう、梅雨ちゃん!」
早速友達第1号!!しかも心優しい女の子!ついてる!
教えてくれた座席に座る。ふむふむ、前の人が相当大きくない限りは悪くない席だな。
「そう言えば、さっきは気づかなかったけれど。美悪ちゃんって推薦入学者?」
「え、あ、うん。そうだよ!」
「そうなの。凄いわ、優秀なのね。」
「…………全然だよ。」
本当に、全然。つい最近まで自分のことを驕っていたどうしようもない奴だ。
「雄英入って、また1から頑張るぐらいの気持ちだよ。個性の使い方がほんの少しわかってるだけで、皆と何も変わりやしない。」
「……そうなのね。じゃあ一緒に頑張っていきましょ!」
「うん!」
「それにしても、そんなに可愛い見た目しておいて推薦で入るぐらいだし、強いのね。……早く美悪ちゃんの個性が見てみたいわ。」
そう言われて顔が引き攣る。……正直、顔が良いのは言われ続けて世間一般的に見て、見目悪い方ではない。と言うのだけは理解している。
それに対して私の個性は世間一般的に見て…………。
「あ、あははは…………。」