「…………すげぇな。」
隣でモニターを見ていた轟くんがぽつりと呟いた。
「本当に……1人で勝ってしまいましたわ…………やっぱり夜魔さんは凄い。」
「先生が2戦目、そして攻撃の幅が広い事を鑑みても凄かった!!」
「よくあそこで超接近戦に持ってけたよね!!流石美悪ちゃん!!」
ほぼお互いに無傷で勝利を収めた夜魔さんはモニター内で先生にドヤ顔をかましている。それはもう物凄いドヤ顔だ。
それにしても本当に自分の個性、体を無駄なく操っている…………僕も、彼女のように。
個性を自在に操れる、そんな日を夢見て。
◇
期末テストの翌日。学校へ行くと期末テストでクリア出来なかった4人がお葬式を開いていた。
「な、何して……!?」
「…………お前みたいな実技試験1人でパスしちゃうような奴にはわかんねぇよな、俺らの気持ち。」
「何言ってんの!?」
登校早々上鳴くんから吐き捨てられた言葉。どういう事!?
「林間合宿の土産話……楽しみにしてるね……。」
「三奈ちゃん!?あ、諦めちゃダメだよ、ま、まだ、」
「やめとき美悪ちゃん!!さっきそうやって励ましてたデクくんが上鳴くんに目潰しされた!!」
「目潰しぃ!?」
何やってんの!??酷いにも程がないか!!?
あまりに卑劣な攻撃に口を開けていると、聞こえた扉が開く音。
「おい、予鈴が鳴ったら席につけ。」
きっちり席に着いて相澤先生の言葉を待つ。
「期末テストにて残念ながら赤点の奴が出た。…………なので、林間合宿は……。」
残念だな……皆でいきたかっ
「全員で行きます。」
「ん!!?」
「い、行っていいんですか!?俺たち!?」
「当たり前だ、林間合宿は強化合宿。赤点とった奴ほどここで強化しないといけない。……合理的虚偽、って奴だ。」
「「「合理的虚偽……。」」」
なんて良い笑顔なんだ、相澤先生。
◇
「でも全員で行けて良かったね!」
「水着とか必要なのね……買わないといけないわ。」
「確かに……買い出し行かないと、」
「あ、じゃあさ!それならテスト終わったことだし週末A組皆で買い出し行かない?」
透ちゃんの言葉に皆がどんどん同調していく。
週末か……。
「美悪ちゃんも行く?」
「うーん……私は辞めておこうかな。」
「え!?なんで!?」
「何か用事でもあるの?」
「うん、ちょっと。お見舞いがあって。」
「お見舞い?誰か入院でもしてるの?」
「あ、いや。私の家族とかじゃないんだけど……母さんの友達、って言うか仲の良い人で。ずっと入院しててね。毎月第2週目の休みに必ずお花持っていってるんだけど……今週母さん仕事みたいで、代わりに。」
「へぇ……偉いね美悪ちゃん!」
「そうでもないよ、ほぼ押し付けられて始めただけだし。……ただ、その人は凄く優しい人で会いに行くのは割と好きだったりするんだ。」
「そっかぁ……じゃあ行かないとだね!わかった!」
「ごめんね、楽しんで来て!」
本当は少し行きたかったけれど、仕方が無い。毎月私が母さんかのどちらか、またはどちらも来るのに来なかったら冷さん心配しちゃうもんな。
私は林間合宿のしおりを見ながら、準備しておくべきものを確認した。