「…………美悪ちゃん、正直に答えて欲しいんよ。」
「え、な、何が?」
「嘘は駄目よ、美悪ちゃん。」
「だから何が!?」
「お前……言い逃れが出来ると思ってんのか?」
「だから何がぁ!!?」
轟くんと一緒に楽しく買い物した翌日。教室へ入った瞬間お茶子ちゃん、梅雨ちゃん、上鳴くん……そして峰田くんに囲まれた。
「……さっき、轟にも聞いたんだがよ。」
顔を俯かせながら呟いた峰田くん。な、何……?
「お前ら……デキてんのか?」
「デキ……………………はぁ!!?」
「俺ら見たんだ……お前らが俺たちの誘いを断ったのに2人で買い物してるとこ……。」
「ち…………違う!!違うから!!!」
いや、まぁ、結果的にそうなっちゃっただけで!!って言うか皆が行ったショッピングモールとは別のところに行ったんだけどな!?
「たまたまね、私達も見ちゃったの。」
「買い物し忘れた物があってな……?そしたらすんごーく楽しそうに轟くんと買い物しとる美悪ちゃん見つけてな?」
「ち、違うんだって梅雨ちゃん、お茶子ちゃん!!」
「嘘は駄目よ、美悪ちゃん。」
「嘘じゃないのよ!!梅雨ちゃん!!!」
「隠さなくてええんよ?ただ……友達なのに教えて貰えなかったのが悲しくて……。」
「違うんだって!!!もう!!聞いてよ!!!」
「……峰田、この様子だと。」
「…………本当に違うっぽいな。」
「そう言ってんじゃん!!!いい加減にしないと暴れるよ!?お!!?」
「うわ!?悪かったって夜魔!!」
「轟くんにも聞いたけど、轟くんも否定してたから……やっぱり違うんかぁ。残念!」
「残念って…………って轟くんにもこれやったの!?」
「やったわ。」
「やったわ!?」
「でも轟くんも美悪ちゃん程の熱量じゃなかったけど、ずっと困った感じで違ぇ。って言い続けとったよ。」
「その上で私にもやったのかお主ら…………酷い奴らだな。」
「もしかしたら轟は隠してるだけかも、って思ったんだよ。……でも本当に付き合ってねぇんだな。」
「そう何度も言ってるよね……?最初から言ってるよね?」
「美悪ちゃん、目が血走ってるわ。」
「危ねぇ所だったぜ。お前らがデキてんだったら俺らはお前らを処刑しないといけないところだった。」
「峰田くん!?」
処刑って、付き合うことでそんな重罪になる!?
「ヒーローを志す身として、おかしいだろ?色恋沙汰にうつつを抜かすなんてよぉ。」
「常日頃から性欲の権化やってる奴に言われたくないんだけどな……?」
「私たちはそんなんじゃないよ!?ただ、2人が付き合ってるんだったら教えて欲しいなぁって思っただけ!応援するつもりやったよ!」
「あ、ありがとうお茶子ちゃん……でも本当にそんなのじゃないから。仲良い友達ってだけだから。」
「……そういえば美悪ちゃん、目標達成してるわね。」
「え?」
「あ、確かに!!轟くんと友達になるってやつ!」
………………あ、本当だ。
「意識してなかったけど、確かに達成してたね……私凄い!!」
「……さっき轟にも聞いたけどよ、たまたま会ってお互い用事が済んでたから一緒に買い物行った。って聞いたけどよ、本当か?」
上鳴くんが未だ疑うような視線を寄越しつつ聞いてくるが、
「本当だよ!!たまたま……本当に、たまたま…………。」
あの時はびっくりしたなぁ、轟。って言う苗字にも自分の可哀想な脳みそにも。
「でもなんで買い物行こうってなったの?友達っつってもそこまで仲良かったか?お前ら。」
「うーん……なんでだろう、轟くんから誘われて私もびっくりしたんだよね。でも普通に楽しかったよ!」
「えぇ、それは遠目に見てても思ったわ。」
「遠目に見てないで声かけてよ梅雨ちゃん……。」
「だってあまりにも二人の世界だったんだもの、ねぇお茶子ちゃん。」
「そうだよ!?本当にびっくりしたんやから!!」
「もう、そんなわけないじゃん。轟くんが私なんかと付き合う訳無いって!」
なんたって、個性使えば人間からかけ離れてるし。
すぐ急所狙え!!とか言っちゃうし。
頭も悪けりゃ、未熟者もいいとこで轟くんに期末テスト以外ろくに並べてもいないのに。
………………あれ、想像以上に私って駄目な奴だな。
「美悪ちゃん?」
「どうしたの?」
首を傾げて心配してくれる友人達に笑顔を向けながら、また改めて決意する。
自惚れてはいけない。轟くんは友達として仲良くしてくれてるけど、ライバルとして見たら私はまだまだ遥かに彼に届いていない。
……もっと、気を引き締めなくちゃ。