「気絶させたら勝ち、だなんて言ってないよね私!?」
「でも、本物のヴィランを想定するならこれぐらいやらないと。」
「手抜いてたらなんの意味もねぇだろうが。」
「そ、それはそうだけど……君たちの目的はあくまで20分と言う時間制限の間、人質を救出させない事!!防衛戦!!」
「そんなの性に合わないです。」
「同感。」
「んんんんん!!でも!!それで頼むよ!!このやり方では私がリカバリーガールに怒られてしまうぅっ……!!」
「…………はぁ、しょうがねぇな。おい夜魔、防衛に徹するぞ。」
「えぇ……防衛戦とか苦手だなぁ。」
「俺らにとっても訓練だ。苦手を克服すんぞ。」
「ば、爆豪少年……!!ありがとう!!」
「あんたはさっさとその情けねぇ顔なんとかしろぉ!!」
◇
「と、言うことでやり過ぎだったヴィラン役には防衛戦をメインにするよう指示…………お願いしてきたから、これからの組は安心してくれ!!」
「……わざわざ言い直したね。」
「うん。…………言うこと聞いてくれなかったのかな……。」
「それでは第2組!!轟少年と緑谷少年!!準備してくれ!」
「頑張ってね!デクくん!!」
「頑張れよ!!轟ぃ、緑谷!!飯田達みたいにボコボコにされてくんなよ?」
「あぁ。」
「が、頑張るよ……!!」
◇
「じゃあ轟くん。さっき話した作戦通り、夜魔さんから狙おう。」
「あぁ、あいつ厄介だからな。でも1組目の時みてぇに爆豪にも注意しねぇと。」
「そうだね……あそこまでの至近距離まで来られたら勝ち目無いから……。」
『それでは第2組目!!スタート!!』
「行こう!!」
「あぁ!!」
◇
「ねぇ、爆豪くん。」
「あぁ?」
建物の前で体操座りをしながら轟くん達が来るのを待つ。
「私ね、今1番倒したいって思ってるの轟くんなんだ。」
「は?俺だろ。」
「…………。」
何言ってんだお前。と言う顔をしながらこちらを見ている爆豪くんだが、こちらこそ何言ってんだお前、である。
「……自信家もそこまで行くと病気だね。」
「あぁ!?」
「爆豪くんも勿論倒したい人だけど、轟くんにはずっとずっと適わないから。入試の時からずっとずっと。」
「…………推薦入試か。」
「うん。……体育祭でも適わなかった。職場体験の時もひとつひとつの動作が私よりもずっと素早く、頭の回転も速くて。」
「…………。」
「だから、絶対勝つよ。」
「指図すんじゃねぇ、当たり前だ。」
当たり前のように返ってきた強気の返事に安心すると共に、2人同時にその場を離れる。
すると襲ってきた冷気はそのまま先程まで私たちがいた場所まで氷漬け。
相変わらずやる事がえげつないな轟くん……。
氷を辿って見ていけば、白い息を吐きながらこちらを見つめる轟くんと、
「っ爆豪くん!!」
「うっせぇ!!」
爆豪くんの方へ飛んでいた緑谷くん。体制が悪い、押されてる。
助けようと彼の元へ向かうが、目の前に立ちはだかる氷壁。
「お前の相手は俺だ。」
「…………高い、壁だなぁ。」
凛々しくこちらを見つめる轟くんを、私は睨みつけるようにして笑った。