「ぜぇ……ぜぇ…………。」
「あ、やっと放してもらえたの?」
「激しく長い攻防戦だったわね。」
その後暫く経っても解放してくれなかった轟くん。私に羞恥という名の拷問を与え続けよって……。
結局私は大暴れして、それを抑え込む轟くんとの持久戦にもつれ込み、長い攻防戦の末私が勝利した。
「見てないで…………助けてよ2人とも…………!!」
「えぇ?美悪ちゃん本気で嫌がっとるように見えなかったし!」
「2人とも仲良しなのね、としか思えなかったわ。」
「仲良しで済ませていいレベルじゃないでしょ!?お姫様抱っこだよ!!?」
「良かったやん!!むしろイケメンな轟くんにお姫様抱っこされるなんてラッキーやん!」
「どこが…………??私は男の子にお姫様抱っこされるような女の子じゃなくて、助けを求める民間人を担ぎ上げられるような女の子になりたいんだけど。」
「ヒーロー志望として100点満点の答えね。」
「可愛げないぞう、美悪ちゃん!」
「無くて良いよ、どうせ可愛げの無い個性だし。」
「そんな事言わないのー!ほら、ご飯いこ!!お腹空いたでしょ?」
「お腹空いた!!」
◇
「お。」
「あ、ちょ、美悪ちゃん!?」
食堂へ向かうと轟くんの姿が見えて反射的にお茶子ちゃんの影に隠れる。
「許さんぞ……先程までの羞恥プレイ……許さん……。」
「……ふふ、猫みてぇだな。」
「なんだって!?」
「……うん、猫みたいだよ美悪ちゃん。」
「まるで威嚇している猫ちゃんね。」
「猫じゃないよ!悪魔だよ!!」
「ほら、そんな警戒すんな。もうあんな事しねぇよ。」
「信用ならん。」
「奇遇だな、俺と一緒だ。」
「ぐぬぬぬ…………。」
「お前がまた無謀な事しねぇ限りはあんなのしねぇよ。」
そう言って目尻を下げた轟くん。
「無謀なことって……。」
「自分の出来る範囲、耐えられる範囲をちゃんと守ってくれ。無理するな、自分の身を案じてくれ。」
「…………。」
「わかったか?」
まるで小さい子を諭すような言い方にムカつきながらも、頷く。彼の言っていることは何一つ間違っていないから。
「ありがとな、わかってくれて。」
「……ごめん。私の方こそ……沢山心配かけてごめん。」
「いや、わかってくれれば良いんだ。」
そう言うと私の頭をひと撫でして、皆の元へと戻って行った轟くん。
……情けないなぁ、心配ばかりかけてしまって。
「それにしても、轟くんって優しいね。私のために怒ってまでしてくれて。」
「…………いや、優しいの域を超えてる気がするけど……。」
「え?」
「……ふふ、本当に仲良しね2人は。」
「うん?仲は悪くないと思うけど……?」
それにしては2人ともにやにやと楽しそうに笑いすぎてるのでは。
「何かあった?」
「いや?」
「別に、なんでもないわよ。」
「……嘘。なんかにやにやしてる!!」
「バレたか!!」
「何!?何が面白いの!!?」
「ふふ、美悪ちゃんには内緒よ。」
「なんでぇ!?」
「それも内緒ー!!」
楽しそうに笑う2人に置いてきぼりな私。
む。と眉間に皺を寄せながら彼女たちを追いかけ回した。