「ぜぇ……ぜぇ…………。」
「っはぁ…………おら!!へばってねぇでかかってこいやぁ!!」
「ちょ、……ちょっと待ってくれよ切島……!!」
「切島くん体力ありすぎぃ…………。」
「体力じゃねぇ……もう気力で立ってる!!」
堂々と言って良い事ではない気がするけど大丈夫かこの人は。
「それなら尚更……ちょっと休んだ方が良いんじゃないの……?」
「休んでる暇なんかねぇよ!!おら!かかってこぉーい!!」
「…………しょうがないなぁ!!」
尻尾を打ち付けて飛び上がり、そのまま翼での勢いを乗せて回し蹴り。
「ってぇ……。」
しかし相手は硬化した切島くん。蹴りつけた足がめっっっちゃくちゃ痛い。
「ほら!怯んでないでどんどん来いやぁ!!」
快活に笑う切島くんに、私と尾白くんは手やら足やら尻尾やらをボロボロにしながら立ち向かった。
◇
「今日の夜は肝試しをやるよぉー!!飴と鞭ー!」
肝試し……?私の出番か?悪魔の本気見せたろか?
なんて思いながら遠目に見える飯田くんを追いかける。
昨日のうのうと日光に耐えながら飛んでいたら相澤先生に目的を持ってやれ、と怒られた。
なので目的とは……と考え、クラス一の瞬足である飯田くんを追いかけることにしたが、もはや何周分の差をつけられたのかわからないぐらいだ。
そもそも頭がくらくらして今にも落っこちそうなのに、あの飯田くんに追いつこうとするなんて。無理にも程がある。と言うか飯田くんずっとノンストップで走ってるけど大丈夫なのかな。
あれ?と言うか飯田くん真っ直ぐ走れていないような?
あれ、凄くぐにゃぐにゃしてて……?地面もなんかぐちゃぐちゃ……?ピクシーボムが地形変えてる……?
あれ、あれ。なんかどんどん地面が近く……
「夜魔!?」
轟くん……?
あれもしかして私、落ちて、
と察した瞬間襲った激痛で目が覚めた。
「っっっっっ!!!!」
「おい、大丈夫か!?」
「美悪ちゃん大丈夫!!?」
たまたま近くにいたのであろう、轟くんとお茶子ちゃんが駆け寄ってくる。
は、恥ずかしい…………墜落するなんて恥ずかしい……!!
「だ、大丈夫……でっかいたんこぶ出来たぐらいだろうから…………。」
「集中しろ、夜魔。」
「うっ……。」
いつの間にか来ていた相澤先生は私にペットボトルの水を渡しながらしゃがみこみ、
「日光の下での活動。それはお前にとって避けては通れない道だ。……昨日よりもスピードは上がっているし、切島達との組手もキレが良かった。」
「ほ、本当ですか……?」
「あぁ。ちゃんと成長の兆しは出てる。お前は集中すればもっともっと伸びる、だからめげずに食らいついてけ。」
そう言うと立ち上がり笑った相澤先生。
「…………頑張ります!!」
くらくらする頭にもらった水をぶっかけ、喉も潤し立ち上がる。
「おい、少し休んだ方が……。」
「大丈夫。」
「でも美悪ちゃんふらふらしてたし!」
「大丈夫!」
成長の兆し。逃してたまるか。
「今は個性使ってたい。ふらふらになりたい!!」
「…………おい。」
「お、覚えてる!!」
睨みつけるようにこちらを見た轟くんに慌てて伝える。
「無理はしません!!今みたいに墜落する前には休みます!!」
「……誓うか?」
「誓う!!誓った!!」
「……はぁ、気をつけろよ。」
「あいよ!!」
ブォッ、と風を巻き上げながら空へ。
いつかお前も克服してみせるからな?とジリジリ照りつける太陽を睨みつけた。