彼の正体

「……………………え!!?」


「え、知らなかったん!?」


「てっきり知ってるものと思ってたわ。」


部分的な悪魔化が自在に操れるようになった頃、お昼を食べながら聞いた話に声を荒らげてしまった。


「と、……轟くんのお父さんってエンデヴァーなの!?」


「そうだって噂だよ?確かに髪も赤い部分もあるし。」


「で、でも炎使ってなくない!?」


「………確かにそうね。」


「個性って確か半冷半燃だよね?じゃあ氷使ってない方が実は炎使えるとか?」


「…………なるほど。」


確かに、髪も2色で綺麗に分かれている。そ、そうか……彼があのエンデヴァーの息子さんだったのか……。


にしても全然似てないな。すっごいイケメンだし。エンデヴァーも若い頃はあんなイケメンだったのかな。


「通りで最強なわけだよねぇ。訓練中も轟くんずば抜けてるもんなぁ。」


「…………相当厳しく育てられたんだろうね。」


何が起きても物怖じしない轟くん。肝も座っているし、攻撃力は言わずもがな。並大抵の鍛錬で培えるものではないと思う。


そっか、彼が…………よし。


「決めたよ、私。」


「何を?」


「私、轟くんと友達になる!!」


「う、うぉー!?…………ちょっとハードル高ない?轟くん、そういう感じじゃないし……。」


「そうね、割と1人でいる事が多いし。」


「……それでも!!たぶん仲良くなれる気がするから!」


「えぇ!?美悪ちゃんと!?性格真反対やん!」


「…………わ、私が轟くんに寄せる!!」


「なんで!!?」


とにかく話してみたい、ちゃんと。色んなこと。きっと分かり合える部分だって多いはずだ。それに、


まだ轟くんがどんな人か全然わからない、打ち解けてみたい。そうしたら聞くんだ、どうしてそんなに強いの?って。


見習わないといけないし、尊敬だってしてる人だから。高校生活最初から負けっぱなし。そんな相手が気にならないわけが無い。


だから、私は彼と仲良くなる。そしていつかは彼の技術をも飲み込み、彼をも超えるヒーローに!!





「…………もういっそ、今話しかけてみたら?」


「いや何言ってんの?絶対今じゃないよね?今話しかけたら凍らされるって。」


「ごめん、わかってて言ったわ。」


「お茶子ちゃん?」


いつからそんな酷いことするようになったの?


なんて、ふざけているのは私たちぐらいではないのだろうか。体育祭入場直前。つい先程まで轟くんが緑谷くんに宣戦布告をしていたところだ。


仲良しごっこじゃねぇんだ。……かぁ。


あまりにも全員を突き放す言い方に悲しくなる。…………なんでそんなにも冷たい目で、冷たい言葉を吐くのだろう。


「……友達、厳しいかなぁ。」


「………………轟くん次第やねぇ。」


とっても強い彼の、とっても冷たい部分を見てしまって。私の心にはもやもやとした晴れない霧がかかった。

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