収拾

「おい!こっちにもいるぞ!?」


「あれは…………夜魔!!おい、しっかりしろ!」


微かに聞こえた耳馴染みのある声に、瞼を開く。


「せ…………んせ…………?」


「あぁ、そうだ。よく頑張ったな。…………こいつはヴィランか?」


ぼたぼた、と血を垂れ流しながら先生に抱き上げられる。


先生がちらりと横目に見たのは私が倒したヴィラン。


「そう……です…………、毒の……。」


「毒…………そうか、それでお前が…………すぐ病院に連れていく、もう少しの辛抱だからな。」


先生は少しばかり焦っているような声色をしている、恐らく自分でも感じているが、私の出血量がとんでもないのだろう。


あれからどれくらいの時間が経ったのかもわからないが、止血することも無く気絶してしまったから……。


「…………と……とどろき……くん……。」


「……轟?」


「とどろき……くん……に……ごめ……って……。」


謝らないと。必ず帰るって言ったのに、自分の足で戻れなかった。


きっと怒ってる、……それにまた心配をかけてしまう。


こんな血に塗れた姿見たら、あの綺麗なお顔が歪んでしまう。


…………ごめん、轟くん。


「……言いたいことがあるなら、元気になってから言え。今は死なないことがお前の目標だ。」


そう言って先生は私を抱えて走る。


…………彼に謝るためにも、今死ねない。


死ねない、けど、いしき……が…………


「夜魔?…………おい、夜魔!?」


ぶつり。意識が遠のいた。





救急隊員や警察が大勢やって来て、事態は収拾していった。


緑谷や意識の戻っていない葉隠、耳郎などが救急搬送され、軽傷を負った奴らも救急隊員に診てもらっている。


…………夜魔、いねぇな。


既に救急搬送されたのか、それほどに大怪我をしたのか。それともまだ森の中から出てきていないのか。


様々なシチュエーションを想像しては、やはり止めておけば良かったかもしれねぇ。と少し後悔する。


しかしその後悔は、すぐに肥大化した。


「……夜魔…………?」


「出血量が多すぎる、布で患部は圧迫してあるが止まっていない。すぐに搬送お願いします。」


「美悪ちゃん……?……え……?」


「……嘘でしょ…………?」


ぐったりと先生に身を預けた夜魔。


着ている服は血に染まり、吸いきれない血が抱えて来たであろう相澤先生の服をも伝って、地に落ちている。


「先生……っ!!夜魔は、」


救急車に夜魔を乗せ終わった先生に駆け寄る。


「……ヴィランにやられたみたいだ。毒、と言っていたから恐らく1人で。…………轟、お前に何か言いたがっていた。」


「……え?」


「……目が覚めたら、聞いてやれ。」


そう言った先生の顔は、緊張感を帯びていて。つまりそういう事で。


「…………はい。」


必ず帰るって言っただろ、なぁ。


守れないなら約束するなよ…………!!


握った拳はただただ強く握りしめ、そして、行く宛ても無く届ける宛てもなく静かに解いた。

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