1人は駄目だ

光が差し込み、瞼を持ち上げる。


「…………病、室?」


1人部屋の恐らく病室。


…………………………皆は!?ヴィランは!!?


どうなったのか、と言うか今はいつなんだ。誰もいない病室で混乱を極める。


その時ふと目に入った備え付けのテレビ。


咄嗟に電源を付けると、お昼のニュースが流れた。


……神野?


どこだそれは。と言うか雄英の話は……?


『雄英高校の林間合宿中に攫われた爆豪くんは、オールマイト達の活躍もあり無事保護されました。』


保護!!!


………………って捕まっとったんか!!


なんという事だ。私が寝ている間に爆豪くんはヴィランに攫われ保護されたらしい。…………って、今日って?


テレビの左上に時間とともに表示された日付。それは林間合宿3日目から3日後。


…………つまり、3日寝てたということ……?


なんっ……!!?


「………………はぁ。」


寝すぎだろう、あれかな。毒に対して無茶し過ぎたのだろうか。


死ななかっただけマシとでも?いやいや…………皆は無事だったのかな。


気になることが多すぎる。とりあえず誰かに話を聞きたい。スマホも手に届く範囲に無いし、どうしたら……。


ガララララ。


「……あっ。」


「……………………おき、たのか。」


きょとん。目を丸くして固まってしまった轟くん。


「あ、うん……今さっき。……って丁度良かった!!色々聞きたいことが」


あるんだよ、と言う前に轟くんの温もりに包まれた。


「………………えっ?」


「……生きてるな、…………生きてる。」


私の存在を確認するように、隙間無く身体を密着させてくる轟くん。


…………………………???


……なっ、


「何してんのおお!!?!?!!?」


「うるせぇ。」


「ごめんね!!?でもえ、なに、ちょ、はな、離して!?」


「嫌だ。」


「嫌だぁあ!!?」


ぎゅぅ。縋り付くように私の首筋へ頭を押し付ける轟くん。


え、ちょ、わからん、わからんわからん!!イケメン何考えとるのかわからん!!!


とりあえず私はしにそう!!轟くんの顔が良すぎて、なんか良い匂いしててしにそう!!むしろ誰か殺してくれ!!?埋めてくれ!?


私の脳内は混乱を極めているが、轟くんはただただ静かに私を抱き締めている。どういう心情……?


「…………帰ってくるって言った。」


「え!?……あ、そ、それは、」


「嘘つき。」


うっ……嘘つきぃ…………????


なんとも可愛らしい言葉に嘘つき、という言葉がゲシュタルト崩壊を始めた。あ、え、か、可愛い……???


「ご、ごめんね……??」


「生きて帰ってくるって、信じろって言ったのに。」


いや生きてるよ!?こんだけうるさくて死んでるように見えてるのかな?


「……死にそうな顔で、相澤先生に運ばれて戻ってくるし。」


「ご、ごめん……。」


自分の足で戻れなかった。朦朧とする意識の中で後悔したのを覚えている。


「…………どれだけ、心配したと思ってんだ。」


抱き締めている腕に触れると、少しだけ震えていて彼の心情を察してしまう。


……いなくなってしまうと、思ったのかな。


「……本当に、ごめん。また無茶した。」


「本当だ……もうしないって言っただろ……!!」


「ごめん。…………行かなきゃって、それだけで頭の中いっぱいになっちゃって。」


彼の気持ちを蔑ろにしてしまった。酷く心配性な轟くんの気持ちを。


「ごめんなさい。……謝って許してもらえるとは思ってないけど……申し訳ないと思ってる。」


「……なら、今度こそ辞めろ。」


「………………善処する。」


早速破ってしまった約束。自分の性格上守れる気がしない。


「……出来ねぇなら、俺も連れて行け。」


「え?」


「お前が無茶するその場に、俺も連れてってくれ。」


やっと身体を離して、目と目を合わせる。


吸い込まれそうなオッドアイ。その瞳はどろりと懇願の色に塗れている。


「……一人で、行かないでくれ。隣に俺を置いてくれ。」


置いてくれ、だなんて。彼に下手に言われる筋合いなんてどこにもないのに。


縋るようなその瞳に、私は何も言えなくてただ彼に向かって首を縦に降った。

top