全員揃って寮に到着した途端、轟くん達は相澤先生に盛大な釘を刺されてしまった。
なんとも言えない空気感。それを何故か爆豪くんが上鳴くんをアホにして打破するという強行突破をした。
……そういえば爆豪くん、攫われて保護されたって聞いたけど案外元気そう?
正直林間合宿以来顔すら見ていなかったので、正直気になるところではあった。
ずんずんと歩みを進める爆豪くんに駆け寄り、
「爆豪くん、」
「……あぁ?」
…………あ、えっと何話そう。とりあえず今日も凶悪な顔してるからそれなりに元気だろうけど…………。
「えっと、今日も異常者やってる?」
「あぁ!!?」
間違えた。
◇
「大丈夫か?それ。」
「…………大丈夫じゃない。」
爆豪くんは烈火の如く怒り、個性は使わなかったものの私の脳天に拳骨をクリーンヒットさせた。立派なたんこぶが誕生した。
「あんなに怒らなくたって良いのに……。」
「いや、急に異常者やってる?って聞く美悪ちゃんも中々やばいよ?」
「なんか声掛けたくて。咄嗟に出たのがそれだったや。」
「咄嗟に…………。」
相澤先生より今日は1日荷解きしてろ、との事で皆と別れて自室へ向かう。
……って言ってもそんなに物は無いからすぐに終わるだろう。
手始めにいくつか重なったダンボールを開封する事から始めた。
◇
共有スペースのソファーに座りながら、切島くんが疲れたように声を上げる。
「でもわくわくすんなぁ、寮生活!」
「そうだね!!」
皆とこれからは毎日一緒。……じょ、女子とも一緒なのは少し緊張感するけれど……と考えていると私服に着替えた女子たちがこちらへやって来る。
荷解きの進捗などについて話している中、とある提案が。
「ねぇ、お部屋見せ合いっこしない!?」
え。
「わあああああだめだめだめだめ!!!」
僕の抵抗虚しく開けられた部屋は、オールマイト部屋。もうオールマイトまみれと言っても過言ではない。
麗日さんは軽快にオタク部屋だー!!と言っているが、まさにそうだ。オタク部屋……恥ずかしい……!!
その後も色んな人の部屋を覗いた中で、何故か部屋王を決めることとなった。……良いのか?部屋王決定戦が始まっても、良いのか!?
そして全員の部屋を巡る事となった訳だが、
「……あれ?夜魔は?」
芦戸さんの言葉に、確かにと気づく。
「あ、美悪ちゃんは色々やることあるから……ってどこ行ったんだろう?」
「麗日さんも知らないの?」
「うん、私は遠慮しとくとしか聞いてないや……。」
「ふーん……部屋にでも閉じこもってんのかね?」
そう話しながら窓から寮の外を見ると何やら人影。
…………ん?
「ね、ねぇ……轟くん……。」
「どうした?」
「あそこにいるのって……。」
暗闇の中、何かが動いているのが見える。けど、……
「…………夜魔?」
「え?居たの!?」
「どこどこ?」
「そ、外に……。」
皆で寮の外へ向かうと、汗をめいいっぱいかきながら腕立て伏せをしている夜魔さん。
「………………な、何してるの!?」
「……えっ……皆何して…………。」
「いやこっちの台詞!?疲れたから部屋にでも閉じこもってんのかと思ったら……トレーニング!?元気かよ!!」
芦戸さんの言葉に頷く。疲れてないのか……!?
「お、……ご、ごめん…………?ちゃんと言っておかなくて……。」
「……日課なのか?」
轟くんが聞けば、こくんと頷いた夜魔さん。
「実家でもやってた事は、こっちでもやりたくて。……それにまだまだ強くならないとって実感したとこだから。」
そう言って笑った夜魔さん。
「……でもそろそろ終わろうかな。皆は何してたの?ほぼ全員揃ってるみたいだけど。」
「今ね、部屋王を決めようとしてて!」
「部屋王?何それ!?楽しそう!!」
「でももうほとんど見終わっちゃったとこだよ?」
「えぇ?そうなの?」
「うん、美悪ちゃん戻ってくるの遅いよー!」
「そっかぁ…………まぁいないだろうとは思ってたけど、爆豪くんは?あと梅雨ちゃん。」
「爆豪はもう寝た。」
「寝た!!?」
「梅雨ちゃんは気分が悪いみたいで……。」
「そ、そっか…………爆豪くん衝撃的な就寝時間だな……。」
「その分朝早く起きるんじゃねぇのか?」
「ふーん……あ、じゃあさ疑似黒ひげ危機一髪やらない?」
「疑似黒ひげ危機一髪?」
「そうそう!順番に爆豪くんの部屋に侵入して、誰が最初に爆破されるか!」
「やるわけないじゃん!!?」
「相変わらずとち狂ってんなお前!!?」
「お前死にてぇのか!? 」
楽しそうに言った夜魔さんの提案。
クラスメイト達から罵詈雑言を浴びせられている彼女のことは……申し訳ないが僕も狂ってるとしか思えない…………。