「皆は……まだいないみたいだね。」
「そうだな……俺たちが通過した時点で半数切ってた……。」
「……皆、大丈夫かな。」
出来ることなら全員で通過したい、そう思っていたけれどそんな簡単な事では無い。わかっていたつもりだけども、現在の状況を見ると更に痛感した。
ぎゅっ。と拳を握って皆が来ないかと扉を見つめる。しかし一向に来なくて、握った拳は更に強く。
「……おい、心配なのはわかるけど痛めるぞ。」
「え、あ……本当だ。強く握ってたみたい……。」
「みたいって……。」
握った拳を轟くんに解かせられ、息を着く。
「皆、早く来ると良いね。」
「あぁ。……信じよう。」
「……うん。」
◇
「はぁぁぁ…………良かったぁ!!」
「ね!!全員で一次試験突破!!」
「しかもそんなに大きな怪我も無くて良かったよ、本当に。」
「美悪ちゃん暫く待ってたのよね?心配かけてしまったわね。」
「ううん、全然。……1人だったら考え込んじゃったかもしれないけど、」
視線を動かし、轟くんを捉える。
「……1人じゃなかったから。」
平気だよ。そう笑うと2人も笑った。
次は二次試験。一次試験より遥かに人数が減った訳だが次は何を……?
◇
「顔が怖い!!減点じゃあああ!!!」
「顔が怖い!?!?」
「強ばり過ぎとんのじゃ!!ヒーローがビビってて安心なんかするか!!」
「あ、そ、そういう……。」
「……俺一瞬夜魔の悪魔顔が怖いのかと思っちまった。」
「俺も。」
いや私もだよ……どうしろって言うのと愕然とするところだった。
言われた通り私はビビり倒している。救助訓練は雄英でも何度かやって来たがやはり戦闘訓練の方が遥かに場数こなしている。
なので人を安心させる為にどうするか、その辺りが正直自信が無い。
しかし……言われた通りだ。私がビビっていて、被害者の皆さんが安心なんてするわけが無い。
「……大丈夫!!必ず助けます!!」
にっこり笑って優しく手を差し伸べる。
笑顔で人を助けるヒーロー。少しでもそんな彼に近づくために。
「夜魔、もう1人抱えられるか?」
「余裕!」
切島くんに受け渡された子供を腕に抱えて避難所へと移動する。
「お願いします!」
「了解した!」
士傑の方や他校の皆さんと協力しながら少しずつ少しずつ避難を進めていく。すると、
………………え?
思わず固まる。あ、あの人は…………
一時期、母が今のように顔を売りとする前。つまりただのヒーローだった頃。
母とずっとヴィランに見えるヒーローランキング上位争いというなんとも不毛な争いをしていた……
『只今より、ヴィランが襲撃します。』
「さぁ、かかってこいヒーロー共。」
ぎゃ、ギャングオルカー!!?