なんてこった。ギャングオルカが多くのサイドキックを連れて現れた。


私たちは出来るだけ多くの人数抱えて避難場所を移動する。


ギャングオルカの方には誰か……


巻き上がった風。


……………………あれって……。


思い出される推薦入試。私が適わなかった、適わなくて悔しくてそして少し高揚した、風の個性。


それを操っているのは、……夜嵐くん。


そういう事か……やはり彼があの時の……!!


なんて、今は感傷的になっている場合ではない。動けない避難民を丁寧に抱えて移動する。


彼がいるなら大丈夫だろう、実力は推薦入試の時点で相当なものだった。


そう思って背を向けていると見えた灼熱の炎。


あれは……轟くん!!


轟くんもこっちへ来てくれたのか!ならばより安心だ。実力派な彼らが迎え撃ってくれるのだから。


本来ならば撃退するのが好ましいが、今回のこの場合は食い止めるだけでも多くのメリットがある。


救助者が全員救助された時点で終了。なのでその間食い止めて、救助者達が襲われないようにするだけでも充分だ。


……それに、相手は実力派プロヒーロー。撃退なんて恐らく難しい。


食い止める、それすら難しいとは思うけど……頑張ってね2人とも……!!!


遠目に見える風と炎にエールを送って、私はまた1人抱え上げた。





「おい!!あれ見ろよ!!!」


「……あいつら……何やって……!?」


士傑の先輩が動揺したような声を上げている。


どうしたんだろう、と思って視線を追うとギャングオルカへと届いていない炎と風。


…………?


「あれは、何して……?」


「……恐らく互いが互いの攻撃を邪魔している。」


「は!?」


なんでそんな事!?ギャングオルカの個性!?人を喧嘩させるとか!?最低じゃん!!


「…………いやでもギャングオルカの個性はシャチ……。」


「あぁ、だからあれはあいつらが勝手にやっている事……ふざけているのか……?」


一体何がどうなったらそんな事になるんだ。


「……私、あっち行ってきます!!」


「あぁ、頼んだ!」


翼を広げてそちらに向かう、すると傑物学園の先輩が地に倒れているのを見つける。


「大丈夫ですか!?」


「っあぁ……少し超音波食らって…………。」


超音波……そうか、ギャングオルカの。


とにかく早くあの攻撃を辞めさせて、ギャングオルカに攻撃を加えないと。


その前に先輩移動させた方が良いか、少しここは近すぎる。


そう思い傑物学園の先輩を腕を肩にかけた時、物凄い勢いで向かってきた炎。


「…………っ!?」


「うわ!!」


咄嗟に先輩を避難場所の方向へ投げる。そして迫る炎を


「……っシュトリ!!」


少しでも防御出来るよう強化された肉体であるシュトリを纏い、顔の前で腕を交差させて炎を受けた。


「っぐ、う、ぅ…………。」


「夜魔さん!!!」


熱い、熱い熱い、いたい、あつい、痛い!!!


「ふ、ぐぅ…………うぅ、うぁっ…………。」


暫くして止んだ炎。自分の腕からはシュウゥ……と煙が上がっている。


「夜魔さん、夜魔さん!!大丈夫!?」


すぐに駆け寄って来てくれた緑谷くん。それより、


「……避難所…………は…………。」


「無事だよ!!夜魔さんが……夜魔さんが庇ったから炎の手は届かなかった!!」


先輩を抱えようとした時、まだそこまで遠くへと移動出来ていなかった避難所が見えた。


それに対してあの勢いの強すぎる炎。……避けたら、皆に届いてしまう。


咄嗟に自分の体を盾にしたが、どうやら正解だったようだ。無駄な行動では無かった。


でも、


「ごめ……もう、…………うごけ…………。」


「……うん、ありがとう。本当に。あとは任せて。」


緑谷くんに抱き上げられて、個性も解ける。


最後に見えた轟くんは、絶望に染まった顔で私を見ていた。

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