なんてこった。ギャングオルカが多くのサイドキックを連れて現れた。
私たちは出来るだけ多くの人数抱えて避難場所を移動する。
ギャングオルカの方には誰か……
巻き上がった風。
……………………あれって……。
思い出される推薦入試。私が適わなかった、適わなくて悔しくてそして少し高揚した、風の個性。
それを操っているのは、……夜嵐くん。
そういう事か……やはり彼があの時の……!!
なんて、今は感傷的になっている場合ではない。動けない避難民を丁寧に抱えて移動する。
彼がいるなら大丈夫だろう、実力は推薦入試の時点で相当なものだった。
そう思って背を向けていると見えた灼熱の炎。
あれは……轟くん!!
轟くんもこっちへ来てくれたのか!ならばより安心だ。実力派な彼らが迎え撃ってくれるのだから。
本来ならば撃退するのが好ましいが、今回のこの場合は食い止めるだけでも多くのメリットがある。
救助者が全員救助された時点で終了。なのでその間食い止めて、救助者達が襲われないようにするだけでも充分だ。
……それに、相手は実力派プロヒーロー。撃退なんて恐らく難しい。
食い止める、それすら難しいとは思うけど……頑張ってね2人とも……!!!
遠目に見える風と炎にエールを送って、私はまた1人抱え上げた。
◇
「おい!!あれ見ろよ!!!」
「……あいつら……何やって……!?」
士傑の先輩が動揺したような声を上げている。
どうしたんだろう、と思って視線を追うとギャングオルカへと届いていない炎と風。
…………?
「あれは、何して……?」
「……恐らく互いが互いの攻撃を邪魔している。」
「は!?」
なんでそんな事!?ギャングオルカの個性!?人を喧嘩させるとか!?最低じゃん!!
「…………いやでもギャングオルカの個性はシャチ……。」
「あぁ、だからあれはあいつらが勝手にやっている事……ふざけているのか……?」
一体何がどうなったらそんな事になるんだ。
「……私、あっち行ってきます!!」
「あぁ、頼んだ!」
翼を広げてそちらに向かう、すると傑物学園の先輩が地に倒れているのを見つける。
「大丈夫ですか!?」
「っあぁ……少し超音波食らって…………。」
超音波……そうか、ギャングオルカの。
とにかく早くあの攻撃を辞めさせて、ギャングオルカに攻撃を加えないと。
その前に先輩移動させた方が良いか、少しここは近すぎる。
そう思い傑物学園の先輩を腕を肩にかけた時、物凄い勢いで向かってきた炎。
「…………っ!?」
「うわ!!」
咄嗟に先輩を避難場所の方向へ投げる。そして迫る炎を
「……っシュトリ!!」
少しでも防御出来るよう強化された肉体であるシュトリを纏い、顔の前で腕を交差させて炎を受けた。
「っぐ、う、ぅ…………。」
「夜魔さん!!!」
熱い、熱い熱い、いたい、あつい、痛い!!!
「ふ、ぐぅ…………うぅ、うぁっ…………。」
暫くして止んだ炎。自分の腕からはシュウゥ……と煙が上がっている。
「夜魔さん、夜魔さん!!大丈夫!?」
すぐに駆け寄って来てくれた緑谷くん。それより、
「……避難所…………は…………。」
「無事だよ!!夜魔さんが……夜魔さんが庇ったから炎の手は届かなかった!!」
先輩を抱えようとした時、まだそこまで遠くへと移動出来ていなかった避難所が見えた。
それに対してあの勢いの強すぎる炎。……避けたら、皆に届いてしまう。
咄嗟に自分の体を盾にしたが、どうやら正解だったようだ。無駄な行動では無かった。
でも、
「ごめ……もう、…………うごけ…………。」
「……うん、ありがとう。本当に。あとは任せて。」
緑谷くんに抱き上げられて、個性も解ける。
最後に見えた轟くんは、絶望に染まった顔で私を見ていた。