残された傷跡

「目覚めたか。」


「……せ……んせい……。」


……試験は!?


慌てて起き上がると至る所がジリジリと傷んで


「いっ!!」


「無理するな。…お前至る所火傷してるから…………炎に対して自分を盾にするなんて、それしか無かったにしてもよく出来たなお前。」


「うっ……そりゃ怖かったですけど…………。」


後ろには守るべき人達がいた。だから、考える暇もなく自分の体を盾にしていた。


…………ってそれより!!


「そういえば、試験は!?」


「終わった。」


「結果は!?」


「お前は合格。」


ご………………


「や、やったああああ!!!」


「うるさい。」


「すいません!!」


良かった、良かったぁ!!途中でダウンするやつなんて軟弱過ぎるので不合格!!なんてならなくて良かった!!


「み、皆は!?」


「…………大体受かった。」


「本当ですか!!良かった!!…………って、大体って……?」


「……轟と爆豪。2人は落ちた。」


「……………………えっ。」


「とは言え救済措置がある、補習を受けて再度受ける試験で合格すれば仮免取得出来る。だから完全にゼロからって訳じゃあない。」


「そ、そうですか…………。」


敵わない、そう思っていた轟くんの不合格。


体育祭で手も足も出なかった爆豪くんの不合格。


それらは、もっともっと私に優越感を与えてくれるかと思ったのに。


…………思っていたより、悲しいな。


「皆は今……?」


「全員寮に戻った、あとはお前だけ。」


「えっ!?す、すいません。すぐ身支度整えます!!」


そんなに寝てたの!?眠っていた救護室らしき場所の窓を覗くと、微かに夕日が差し込んでいた。


「……ちゃんと、轟と話せよ。」


「えっ?」


わたわたとベッドから降りて荷物をまとめていると、相澤先生は真剣な顔をして言った。


「危害を加えられたのはお前の方だ、だから怒っても良いし注意しても良い。権利がある。だが、何故あんな事になったのかは話聞いてやってくれ。」


話を……と、と言うか、


「お、怒るだなんて……!!そんなのしないですよ……でも確かに普段の轟くんなら有り得ない行動でした。……普通に私も気になるので、聞きます。任せてください!!」


何も無かったはずは無い。絶対何かあったんだ、普段戦闘中冷静を保っている轟くんがあんな事。少し考えれば救助者へ危害が加わると分かることが分からなかった。


…………何があったのか、聞かせて欲しい。


元よりそのつもりだ、と言わんばかりに先生に頷くと先生もまた頼んだ。と言わんばかりに頷いた。





「ただいまー……?」


ひっそりと寮への扉を開ける。入った瞬間に轟くんとエンカウントしたらどうしよう、なんて思いながら。


「……え!?美悪ちゃん!?おかえりいいい!!!」


「おかえりなさい、美悪ちゃん!!」


するとすぐに気づいてくれたお茶子ちゃんと梅雨ちゃんが気づいて駆け寄ってきてくれた。


「た、ただいま!」


「大丈夫!?身体中火傷負ったって聞いたけど……。」


「……無事では無さそうね。」


腕や首元に巻かれた包帯、顔にもガーゼやらなんやら貼り付けられていて、あからさまに心配をかけてしまう。


「だ、大丈夫大丈夫!見た目の割に痛くないし!……それより、その、……轟くんは?」


2人と話しながらちらちらと中を覗くが、彼の姿は見当たらない。


「轟くんは爆豪くんと一緒に仮免の補習についての話聞きに行っとるよ!」


「試験の結果については聞いたかしら?」


「うん、向こうで相澤先生に聞いたよ。……そっか。」


「轟くんに用事?」


きょとん。と首を傾げているお茶子ちゃん。……彼女を見ている限り私の火傷が轟くんの炎によるものだとは知らされていないようだ。


それはそれで安心だ、轟くんだって絶対わざとやった訳じゃない。変に広まっていなくて良かった。


……あの場にいたのは轟くん、傑物学園の人、ギャングオルカに夜嵐くんと……緑谷くん。


そっか……緑谷くんは変に広めることも無くここへ戻ってきてくれたんだなぁ。


「うん、ちょっと用事あるんだけど……いつ頃戻ってくるかな?」


「どうかしら……暫く前に呼ばれて行ってからそれなりに時間経ってるけど……戻ってきてないわ。」


「そっかぁ……。」


「いつ戻ってくるかわからないから、明日にしたらどうかな?」


お茶子ちゃんの提案にうーんと唸る。出来るだけ早く話したかったな。


優しい轟くんの事だ。きっと私に危害を加えた事を気にしている事だろう、早めに怒ってなんかいない事を伝えたい。それにあの時何があったのか教えて欲しい。


でも戻ってきてないなら仕方ない。


「……そうだね、また明日にしておくよ。」


「うんうん、今日はもう休んだら?疲れたよね?」


「うん、ヘトヘト。部屋戻るよ。」


「おやすみ、美悪ちゃん。」


「おやすみ!」


「2人とも、おやすみ!」





「夜魔さん!」


「……あ、緑谷くん。」


荷物を持ってエレベーターを待っていると駆け寄ってきた緑谷くん。


「火傷、大丈夫……?」


「うん、見た目こそ派手だけどそこまで痛くはないよ!ごめんね、運んでくれたの緑谷くんだよね?」


「うん、夜魔さん完全に意識失っちゃってたから……。」


でも元気そうで良かった、と優しく笑った緑谷くん。彼もまた本当に優しい人だな。


「さっきお茶子ちゃん達にも聞いたけど、轟くん戻ってきてないんだってね。」


「うん、補習の話があるみたいで。……僕も色々と聞きたいことがあったんたけど。」


「私も。……でもありがとう緑谷くん、私の火傷が轟くんの炎だって皆に黙っててくれて。」


「それは、全然。……2人の問題だと思うし、明らかに轟くんの様子はおかしかったから。」


「ね、早く聞かないとだ。こんだけ傷だらけにされたんだから!」


「ふふ、轟くんの落ち込んだ顔が見れちゃうかもしれないね。」


「間違いないよ、写真でも撮っておこうかな?」


そう言って笑う私達。恐らく轟くんはこんなの想像も出来ていないだろうけども。

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