優秀な子達

※似たもの同士 の続きです。


『じゃあ特攻頼んだで!!ヒーロー名!ショートくん!』


「「了解。」」


無線からの通信が切れて、背後にて待機しているショートに目配せをする。


良い?始めるよ?そんな意味を込めた視線に彼は凛々しく頷いた。


ヴッ、かっこよ……。なんて気持ちは無理やり押し込めて、力いっぱい拳を奮う。


崩壊した敵アジトの入口。騒然とする声が聞こえてきて、こちらと逃げてくるが


「…………げっ、ヒーロー名……!!」


「おいおい……ファットガムまでいんぞ……!!」


その一瞬の動揺の隙に


「ショート!!」


「あぁ!!」


ショートが一気に相手の足元を凍らせて、拘束する。


「おぉ!!流石優秀なサイドキックやなぁ!!」


「ありがとうございます、こいつらの処理は、」


「確保部隊に任せて、一緒に。」


「わかった。」


更に内部へと私たちは足を進める。


すると個性を使って応戦してくるヴィラン達。


「……抵抗、しないでくれ!!」


それをサンイーターがタコの足を使って絡め取り、確保部隊のいる後方へと投げ飛ばす。


す、凄いなその個性……!!噂には聞いてたけど、生で見ると凄い……!本当にタコになるのか……。


しかし投げ飛ばした際に隙ができたサンイーター、その隙を狙ってきたヴィランを


「さ、せ、る、かぁああ!!!」


硬化した烈怒頼雄斗が相手に突進し、そのまま戦闘不能へ。


なんと言う硬さ…………それにあの硬さを保持してそのまま素早く動けるのか……凄いな……。


「お宅のサイドキックも凄いけど、うちの子らも凄いやろ?」


なんとも自慢げなファットガムに頷く。


「……凄い。本当に。でも、サイドキックにばかり頼ってちゃ駄目だね。」


「ほんまにな!!頼ってばっかおらんと、ファットさん達もやったるでー!!」


意気揚々と駆けていくファットガム。その後を追って私も駆けた。





「……まぁだこんな残っとったんか。」


ぞろぞろと出てくるヴィラン達。しかしながら後方の確保は済んでおり、他の出入口も既に封鎖済みなので恐らくここにいる連中が最後だろう。


「さっさと確保させてもらうでぇ!!」


「んなの…………素直に捕まるわけねぇだろ!!」


一斉に向かってくるヴィラン達、数で押すつもりなのだろう。


しかしながらあっさりと前線の奴らはファットに吸い込まれ、既に戦闘不能。


「流石過ぎる……はっや。」


「先頭は捕まえたからな!あと頼んだで!!」


「了解!」


後方へと戻っていくファットを見送り、再び前線を見ると、あれ?私いらないのでは?なんて思うほどにゴリゴリ戦えてるサイドキック達。


「ヒーロー名!!」


「ぅおっ、」


後輩達の立派な成長ぶりに感動していると、背後から迫っていたヴィランに気づかず、ショートが炎熱を使って遠ざけてくれた。


「ぼーっとしてんな!!」


「す、すいません!!」


な、情けない。現場以外でポンコツなんだから、せめてここでぐらいちゃんと働かないと。


そう思い、既に何人も相手にしていて体力を消耗しているサイドキックたちの前に躍り出て、


「下がってて、ファットガムと一緒に確保手伝って。」


戻ってきたファットガムを指して伝え、周囲に集まっていたヴィランを拳の衝撃で打ち払う。


「うぉお!!?さ、流石ヒーロー名……間近で戦うの見るのなんだかんだ初めてかもしれねぇ……。」


「ちょ、切島くん、環!!あんま近く寄っちゃあかん!!環なんか簡単に吹っ飛ばされるで!!ヒーロー名の周りの見てなさ舐めたらあかん!!」


聞こえてるからね、ファットガム……?


ちゃんと見てるし!!なんなら見てなくてもショートがカバーしてくれるから!!


顔面に一撃、振り向いて膝蹴り、バク転してかかと落とし。


順調に気絶していくヴィラン達を、皆がどんどん回収してくれる。


すると視界の端で1人、駆け抜けたヴィラン。


「せめて……1人だけでも……!!!」


そいつは確保に勤しんでいたショートの背後を狙って、


「ショートくん!!」


「轟!!!」


「っ!?」


振り返ったショートの顔面を狙って、なんて


「させない!!!」


足に圧力を使ってショートの元へ。勢いのまま彼の肩に片手をついて、それを軸としてヴィランの頭へ回し蹴りを食らわせる。


「悪い、……助かった。」


「今のは卑怯だったね、でも気をつけて。」


「わかった。」


彼が頷いたのを確認して、残党を片付ける。


作戦は無事成功。ヴィランは全員確保出来た。





「お疲れ!!やっぱかぁっこえぇなぁ!!ヒーロー名!!」


「ヴッ!!」


ばしぃん!と背中を叩かれ、痛みに悶える。ファットガム、自分の攻撃力舐めたらあかんですよ。


「なんやあの、ショートくん助けた時の回し蹴り!!正にヒーローやったわ!!ファットさんちょっときゅん!ってしてしまったわ!!」


「……え。」


「いやそんな引かんでも。」


ファットさん何歳っすか。なんて言葉をなんとか飲み込み、しゅん。としてしまった彼に笑う。


「……サイドキックの皆、大活躍でしたね。」


「ほんまにな!!いやぁでも良かったわ!」


「……?」


「ヒーロー名の相棒!!べらぼうに強かったやん!!あれならお前の背中任せられるやろ!」


足止めや拘束、周りも良く見えていて味方を守り、ヴィランも戦闘不能へさせていく冷静さと強さを兼ね備えた焦凍くん。


本当に私には勿体ないようなサイドキックで。


「…………はい、自慢のサイドキックです。」


「轟?言われてんぞ!!ヒーロー名に褒めてもらえるなんてすげぇじゃねぇか!」


「…………あぁ、凄ぇ嬉しい。」


「………………でも、…………言葉に見合う実力だった。」


「天喰先輩……。」


「確かに!!また強くなってて焦るぜほんと!!負けねぇからな!!」


「…………あぁ、俺も負けねぇ。」


切島くんと天喰くんと話す焦凍くんに駆け寄る。


「焦凍くん。」


「お、」


「そろそろ帰ろうか。」


「わかった。…………それじゃあ、失礼します。」


「あぁ!またな!轟!ヒーロー名!!」


快活に笑った切島くんとぺこりと頭を下げた天喰くん。


そしてまたなんかあったら頼むわー!と笑ったファットガムに別れを告げて、私達は関西を出た。

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