姉ちゃんもどきの生態

「ちょっと、その人大丈夫?息してる?」


「あ」


「っぷは!!おいこら……飛雄……許さん……!」


「すまん、忘れてた。」


「忘れんなぁっ!?お前……私を怒らせたらどうなるかわかってるだろうね……?」


「もう名前ボコボコに出来るからなんも怖くねぇよ」


「なんて事を!!!」


「影山お前鬼か!?鬼なのか!?」


「西谷と田中がカルチャーショックを受けてる……」


「まぁ家族ならなぁ……?家族じゃないのか」


「くそぅ……恩を忘れよってぇ……誰が作ったご飯を食べてここまで大きくなれたと思ってんだこの野郎!!」


「あぁ?」


「今日は固ゆで卵の刑だ!!カレーだってチキンにしてやる!!」


「はぁ!?んなの駄目に決まってんだろ、ポークにしろせめて」


「嫌だね!!ムカつくクソガキにはチキンで充分だばーかばーか!!」


「……ねぇ日向」


「なんだ山口」


「あのお姉さん、なんか青城の主将に似てない…?」


「!!!……確かに。誰かに似てると思ったら!!」


「その所為?王様の眉間のシワとんでもない事になってるの」


「「……あの人大丈夫かな」」


「くっそ名前テメェ……!」


「はいはいストップ!」


「苗字さんも落ち着きましょう?」


「えっととりあえず整理していい?苗字さんは影山の幼馴染のお姉さんですよね?」


「……姉ちゃんとも言うよ?」


「は、はい、了解です」


「おい!!菅原さんまで困らせんな!!」


「うるさい!ばーかばーか!!」


「落ち着いて落ち着いて!!影山もすぐ噛みつかないの!」


「あ、あの!」


「あ!!日向くん?だよね!?」


「うぇ!?は、はい」


「うわぁ本当に地毛がオレンジなんだぁ……凄いねぇ!」


「う、あ、はい……あの、苗字さんと影山は一緒に住んでるんですか?」


「え?なんで?」


「飯の話とかしてたので…」


「あぁ!うーんとね……一緒には住んでない、かな?」


「いや住んでるだろ」


「え、住んでるって言う?この状態は」


「……半々だな」


「どういう事ですか?」


「家が隣同士でお互いの親が仕事忙しくてほとんどいなくてね、だから家事は私が任されてて」


「うちと苗字家の分の飯を名前がうちで作って、俺と食べて苗字家に持って帰る」


「でもその後結局影山家に戻ってきて影山家でお風呂借りて寝たりとか」


「苗字家に帰って寝たりとか半々だよな」


「うん、だらしない生活してます」


あはは……と苦笑いを浮かべる名前


「それで半々って事かぁ……」


「あ、あの今更だけど練習止めちゃってごめんね!?これ良かったら皆で食べて!私は上から見学させて貰えればいいので!」


持ってきた差し入れを澤村さんに渡して、いそいそと逃げるようにして移動する


「あ、ありがとうございます!」


「「「ありがとうございます!」」」


「いえいえ!!練習頑張って!!」


「めっちゃ優しくていい人そうだよなぁ苗字さん。なんで喧嘩腰になるんだよ影山。」


「……実際優しくていい人なんだろうけど、ガキ扱いばっかりして来るからムカつくだけだ。」


はしごから上に登ろうとする名前を眺める、待てよあいつは


「!!名前!」


「へ、うわぁ!?」


足を滑らせた名前をなんとかスライディングしながら受け止める。


間に合ってよかった……


「お前、握力も無くて運動音痴なんだから下手に動き回るんじゃねぇよ!!」


「ひいい!?怖いよ飛雄おお……でもありがとう」


「ありがとうの前に言うことあんだろ」


「うっ……………ごめんなさい」


「うし」


「………え?あの距離感本当に幼馴染?」


「………俺もそれ思ったよ、スガ」


「旭も?なんか………え?付き合ってはないんだよな?」


「お互い姉とか幼馴染とか言ってたから違うんだろうけど……」


「お前また落ちるから下で見とけ」


「えぇ!?ボール飛んできたら避けれないよ!!」


「……せめて努力はしろよ」


ひんひん言う名前を清水先輩が持ってきてくれた椅子に座らせる


「もう大人しくしとけ、いいな?」


「何飛雄のくせにかっこつけてんの?」


「あ?」


「いだだだだぁ!?頭つぶれるううう!!!」


「なんか、残念な美女って感じがする」


「大地ぃ、失礼だぞ?」


「あ、いや、そ、そうだな……いかんいかん」


「いやまぁ俺も思ったけど」


「影山のお姉さん……!もっと話してみてぇ!」


「いやだから姉じゃないって王様言ってたよね、聞いてた?」


「でも苗字さん本人が姉ちゃんですって!」


「………願望じゃないのそれ」


「え?影山の姉ちゃんになりたいなんて人いるのか?」


「君も大概だよね」


「よし、練習再開するぞー!!」


「あーす!!」