もしかすると、リーマスは部屋に戻っているのではないだろうか。
オレンジ色だった空もすっかり暗くなり、生徒たちも外にはいないため自分ひとり、寒い城の外周を歩いているときにさすがにその考えがよぎった。
彼は少し席を外していただけで、もうすでに部屋に戻っており、薬も飲んでいるのでは。何か起こるのであれば私が歩き回っているうちに起こっていてもおかしくなかった。
そう思い、いちどリーマスの部屋に戻ろうとしたときだった。かすかに遠吠えのようなものが聞こえたのは。
狼人間というものは、月の光を浴びた時点で徐々に姿を変え、理性も失うという。
はた、と頭上を見上げると、とっくにまるい月が雲の切れ目から顔を出していた。
どこから聞こえたのだろう。方向的には森だろうか。こんなとき、あのリーマスがもっていた地図があれば困ることはなかったのに。と今更ながらに思う。
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