「ひあ、の...ごめんなさい..起こすつもりはなくて」
ジェームズさんの髪の毛を触っている私の腕をジェームズさんがつかむ。傍から見ればおかしな状態。とりあえず寝込みを襲ったことについて謝罪の言葉を告げると、彼はまだ眠いのか据わった目でこちらを見た。
「もう、退院できたの?」
この状態に全く触れることなく会話が始まり多少面食らったが、はい。今朝。と言葉少なに答える。
ジェームズさんはそっか、と言ったのち、腕をつかむ力が少し強くなった。
「あの」
「すまなかった」
腕、という言葉は続けられなかった。ますますつかむ力は強くなる。
「僕、どうかしてた。君に、ベルに呪文を当ててしまうなんて...後遺症がなくて本当によかった」
はじめはこちらを真っ直ぐ見つめていた瞳が、話すうちに足元に移る。髪の毛で影になり、また目元がよく見えなくなってしまう。