ジェームズさんなりのけじめなのだろうか。とにかく友人にはエバンズさんにたまたま事件の瞬間を見られていたということで落ち着いてもらった。
もうひとつ。これ以上なくジェームズさんが上の空になったこと。
そもそもはじめからふたりでいてもエバンズさんのことを考えているだろうという様子だったけど、悪化したようだ。
「ジェームズさん」
呼びかけるが返事はない。
図書室で課題をしに来た日。ジェームズさんも暇だからとついてきてくれたのは良かったがまったく手伝ってもくれず、頬杖をついてなにか考え事をしているだけだ。
まあいいか。それでもついてきてくれたのだから。
向かいに座る彼をたまに盗み見しつつ、羊皮紙を埋めていく。いまやっているのは魔法薬学の課題だ。正直魔法薬学は苦手で、その上授業のときの調合を思い出して書いているのだからもっと難しい。ここはなにをいれたんだっけ、頭を捻っていると手がにゅっと出てきた。