「わ」
「魔法薬学?」

私の驚きには気にもとめてない様子で羊皮紙に手を滑らせ文字を読んでいくジェームズさん。
よく反対からなのに読めるなと感心する。彼の手は私より骨ばっていて、大きくてかっこいいと思った。

「はい。あまり見ないでください。字が汚いし…」
「そんなことないよ、綺麗だ。シリウスなんて読めたものじゃないよ」

あっけらかんと友人の悪口を言うが、その前の綺麗、という言葉に私は固まってしまった。
ジェームズさんが私の字を綺麗と。私に対して言ってくれた言葉や感情は宝物だ。嬉しさを噛み締めつつ、未だに私の課題を読む彼を見る。

私の羊皮紙を覗き込むようにして向かいの席からジェームズさんは読んでいるためいつも見ることのできない頭のてっぺんがよく見える。つむじを見つめているとやがて彼が頭を起こした。

抗う


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