迷った挙げ句手を取ることはやめて、隣に並んで一緒に歩く。
横にいるジェームズさんを盗み見すると、やはり彼は不自然なほどに機嫌が良さそうだった。
「あの、ジェームズさん、昨日は」
「ん?」
ん、という問いかけ自体は優しいものだったが、表情はこれ以上言わないでほしいというものになっていた。
そっか。彼は昨日のことをなかったことにしたかったのだ。
「…なんでも、ないです。今日はシリウスさんたち、いないんですね」
「うん、珍しく早起きできたからあいつらは置いてきた」
「ひどい!でも、そのおかげで一緒に歩けて嬉しいです」
なんでもないように取り繕って会話をつなげていく。昨日のことにはふれないでほしい。そう口止めするために早起きしたのだろうか。