ひとりでお気に入りのベンチに座っていると見計らったかのようにでてきたシリウスさんは、私よりもつらそうな顔をしている。いつもと少し違う彼の雰囲気に、少し緊張した。
3人がけのベンチのど真ん中に座って占領していた私は端に寄ってスペースをあける。そうすると目の前にいたシリウスさんは私の隣に、すこし距離をあけて座った。

「身体は、平気か」

ちょっと言いづらそうにもごもごしたあとに発したのはいまさらな私の身体のこと。
そういえばシリウスさんと話したのは随分前だったし、事件の後だってすれ違うこともなかった。

「はい、すっかり。健康そのものです」
「その割に、表情は浮かないようだけど?」

この質問には私は答えなかった。先輩に対してこの態度は失礼かもしれないけど土足で踏み込まれたくないところだって、ある。案の定気まずい空気になって、目の端で髪の毛をかきむしるシリウスさんが見えた。

聞く


prev next
もくじへ