++ポッキーゲーム/花園百々人、天峰秀







※ちょっとBLっぽい注意









「あ、ぴぃちゃんお疲れさま〜。今ね、しゅーくんとポッキーゲームしてたんだ。ぴぃちゃんもする?」
「プ、プロデューサー……」

 事務所のソファに秀さんと百々人さんが座っており、テーブルの上にワークがあるので学校から課せられた課題をしているのだろう。秀さんは少し頬が赤くなっており、教科書が置かれたテーブルにはおなじみの赤い箱のプレッツェルにチョコレートがコーティングされたお菓子が乗っている。

「また百々人さんの毒牙にかかっちゃいましたか……」




「未遂ですよね?」
「未遂って何?! 有遂もあるの?!」
「私が知っている中では無いですけど……」
 
 過去に百々人さんが鋭心さんをおちょくっているところを見たことがあるので何がされたのかは想像できる。
 プレッツェルの端と端とを咥えて食べ進めていくポッキーゲーム、顔の近さによる恥ずかしさや照れでプレッツェルを離した方が負け、という宴会ゲームである。普通の人ならすぐに離してしまうそれだが、百々人さんのそれはワケが違う。ノータイムで躊躇なくプレッツェルを食べるのである。もちろんそれをされると相手側はびっくりして、もしくは顔の近さに恥ずかしくなって咥えていたプレッツェルを離してしまう。
 秀さんもそれにかかったのだろう、と推測をしたのだがあながち間違いでは無かったようだ。

「それって俺以外にも被害者いるの?」
「私が見た中では鋭心さんですかね。鋭心さんもびっくりして離してましたよ。次は必ず勝とうとおっしゃっていましたが」
「これって勝つとかそういうことじゃないでしょ……」

 変な汗かいた、と秀さんが百々人さんから距離を取った。どうやら警戒しているらしい。え〜ひどいよしゅーくん、と百々人さんが楽しそうに秀さんとの距離を詰める。

「ぴぃちゃんもする?」
「あらぬ疑いをかけられそうなので遠慮しますね」
「疑いかけられたら俺が弁明するからプロデューサーもしなよ」
「いやです」
「ぴぃちゃん、僕のことがいやなの?」
「百々人さんそういう風に言えば私が折れるって学習してますね」

 うるっとした目で百々人さんが私に問いかける。180センチ弱の男性の、しかも顔の造形が整っていらっしゃる方の上目遣いというのは中々に殺傷能力がある。
 秀さんは私の手を無理矢理引っ張って、「俺と鋭心先輩が被害にあってるのにプロデューサーだけ無傷なのはゆるせない」と一言。とばっちり食らってるなあ、と他人事のように思っていたが、ソファの真ん中に座らされ、左には百々人さんで右には秀さんと退路を塞がれる。

「いやいや、やりませんよ」
「そんなに僕のことがいやなの? 泣いちゃうかも」
「プロデューサーが百々人先輩泣かしてる〜。ひどい〜」
「二人して結託しやがって……」

 やればいいんでしょ、一瞬だし、とプレッツェルのチョコがついていない方を咥えた。百々人さんが端を咥える。私産毛の処理とか眉毛の処理とか甘いんじゃないかな、と思考を巡らす。こんなに近かったら全部気づかれてしまう。目くそ鼻くそついてたらどうしよう、一生擦られそう。早く終わらせないと、と百々人さんが食べる前に食べ進める。万が一ぶつかって事故にならないように百々人さんの肩に手を添える。最初は余裕そうな表情をしていた彼だが、私から食べ始めたのが予想外だったのか、目を大きく見開いて口が止まってしまった。時間にして数秒だろう。残り3センチほどになったところでプレッツェルが折れた。百々人さんが耐えきれず折ったのだ。

「ぴ、ぴぃちゃんひどい」
「普通にしただけじゃないですか」
「男子高校生の純情を弄んで……」
「いやいや未遂ですから」









20240112



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