++立派なお仕事/渡辺みのり





「名前、今の巻き戻して」
「はい」

 年末ともなると特番が多く組まれる。バラエティに歌番組、お料理番組、ニュース番組、そうなると必然的に出番が多くなる彼らである。

「ちょっと名前見た? 今の恭二の笑顔最高じゃない?」
「はい。あとピエールくん指先の動きまでぴしっとしててすごく綺麗ですね。レッスンの成果が……いや、そうではなく」
「今のファルセットもすごい手こずってさあ、特に踊りながらだと辛かったんだけど、綺麗に出てて良かった。特に俺と恭二高い声安定しなくて……」
「ここのところ、声綺麗だけど、表情とか仕草が苦しそうでそこが本当に良くて……、ではなく、みのりさん」
「ん、なに?」
「これ、この体勢ですよ」

 お世辞にも決して広いとは言えないこたつ。彼の足の間に挟まりながらテレビを見ている。みのりさんは私の頭に顎を乗せて、だけど信じられないほど真剣にテレビを見ているのが雰囲気から分かる。絵面的に大変シュールである。
 年末の特番、その出演が多くなるのは、アイドルである私の恋人、渡辺みのりも同じである。特にここ数週間はそういった番組への出演も多く、レッスンとの兼ね合いでかなり忙殺されていた。そんな忙しい中での束の間の休暇、私たちは久しぶりに一緒に過ごすことにして、私は彼のお家にお邪魔していた。忙殺されて来なかった間に、いつの間にかこたつが実装されていて、こたつの魔力に抗えずに足を入れたのがもう三時間ぐらい前になる。それからずっと、こたつでぬくぬくしながらみのりさんがメンバーの一人であるバイトというユニットが出演した番組の録画を反省も兼ねて見ていたのである。

「え、何が?」
「何が?、じゃないんですよ。この体勢、可笑しくないですか?」
「全然?」
「そんな可愛い声して言ってもだめです」
「え〜だって名前暖かいんだよね」
「私湯たんぽ代わりなんですか?!」

 えへへ、とお酒の入ったみのりさんが私を抱きしめながら、それもあるけど、と言いかける。彼、アルコールが入ると更にふわふわとするのだ。そこも本当に魅力的なのだけれど。
 色々とする口実になるでしょ?、私をぎゅっと抱きしめながら、彼が耳元で小さく小さく囁く。
 





こたつでくっついてテレビを見るみのP
20171231


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