はじめに
裏方と所属するアイドルたちとの親睦を深めよう、アイドル同士垣根無く仲良くなれるようなきっかけの場所を設けよう。これからの活動でもっと彼ら自身が協力し合わなければいけない場面も増えてくる。そう踏んだ私は、315プロダクションでユニット合同の宴会を開こう、という考えに至った。
このプロダクションには未成年者も多く在籍しているし、何せ大所帯。予約を取れるお店も限られているし、彼らもアイドルなので大人数で行動すると必然的にファンの視線が気になる。そこで、思いついたのだ。場所の制約があるのならば、この事務所の中ですればいいのではないか、と。
「山村くんすみません……運ぶの手伝って貰っちゃって……」
「大丈夫です! 名前さんだけじゃ、こんな量重いだろうし、」
「まあ50人弱分ですもんね……」
どん、と双方の腕の中にあるのはオードブルだ。お寿司の入ったもの、あとは揚げ物メインのもの。サンドイッチやフルーツの盛り合わせもある。
「名前さんは何持ち寄ってきたんです?」
「ジュースと、あとおろし大根付きだし巻き卵です! 山村くんは何ですか?」
「僕はお菓子たくさん持ってきました!」
オードブルを人数分頼んだと言っても、ここは男所帯。おそらく食料が足りなくなると考えた私は、各々アイドルたちに何か食べたい物飲みたい物持ち寄ってください、とアナウンスしたのだ。ジュースやお茶はこちらで用意出来るけれど、流石にお酒まで買うと大人の話、予算でまかなえなくなってしまう。なのでお酒も各自飲む分だけ用意してほしいと通達してある。
「でも、こんなに人数居ると被りそうですね……」
「それ思いました。ホワイトボードの裏に誰が何持ち寄るかとか書ける場所を作れば良かったかなあ」
「案外、皆さん被らなかったりするかもしれませんよ?」
「だったらいいですけどねー」
階段を上がりながらそんな話をする。
もう三十分もすれば、他の面々もレッスンや仕事を終えて集まるはず。こうやって企画をしたからには、今日はたくさん楽しんで貰いたい。そう思うのは山村くんも同じようだ。私たちは何言うことなく目線をばちりと合わせて頷いた。
20171009
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