ここがずるい/天道輝
「薫さんってずるい……」
「なんだ、そんなため息ついて」

 明後日のロケのことでドラスタの三人と打ち合わせをする予定だったが、輝さん以外の二人は遅延で少し遅れるらしい。輝さんは椅子を引き寄せて、桜庭に惚れの字か?、だなんて彼は興味津々に尋ねてくるけれど、私はそんなはずないじゃないですかと一蹴する。そもそも私と彼だと釣り合わなすぎる。顔面とか頭の良さだとか。

「まず一つ目。連絡や気遣いがまめ」
「それは分かるな」

 今日の時間に遅れるというメールも、文面からして丁寧さが滲み出ているし内容は簡潔。あと私が風邪を引いた時なんか、大丈夫か?、とゼリーを差し入れしてくれたり、怪我をしたときは絆創膏をくれたりもした。現場の方からの評判も良い。

「二つ目、MCとか番組、素で散々輝さんと仲が悪そうに見えながらも、ステージに立つとめちゃくちゃ息が揃ってる。一ファンとしてここめちゃくちゃ好き」
「それ俺も含んでないか?」
「まあそんな輝さんも含めて好きです」

 少し照れるな、と言った彼にメインは薫さんなので!、と言うと、傷付いた、と返ってくる。調子の良い人だ。

「最後に三つ目。外見も性格も冷静で頭脳派って感じがするのに、ステージ上では熱い男。これ一番最高です」
「ギャップ萌えってやつか?」
「そういう軽い言葉じゃ無いんです。萌えとかじゃなくて、射貫かれて抉られて死ぬみたいな」
「怖い」
「いやでも実際、案外薫さんのこの一面に心臓鷲づかみにされる人って多いんですよ。この前収録した番組、放送されたんですけどその時のSNS上の阿鼻叫喚ぶりが」
「あの体育会系の番組か」
「そうです! 最後走ったじゃないですか。それの薫さんの真剣な表情とか全力で走ったからであろう息絶え絶えな姿だとか、眼鏡外した姿だとか、あれもうやばいですよね破壊力五回くらい見ました」
「怖い」
「最推しなので」

 もちろん輝さんと翼さんも舐め回すように見ましたけど、と付け足せば輝さんの表情が引いたものに変わる。ひどい。










20170513

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