「名字くん、この事務所には学生が多く在籍している。学業と芸能活動の両立は難しいだろう。芸能活動に重きを置いて本業である学業をおろそかにするのはいかがなものかと思う。そこでこの事務所はそれぞれ得意ごとに特化した面々が多く居るので、彼らに協力を仰ぐのはいかがだろうか。もちろん私たちも協力しよう」
横に居る料理をつついている若干二名の学生の肩がびくりと露骨に跳ねた。天ケ瀬さんと御手洗さんである。
私からしたら、硲さんの提案は願ったり叶ったりなものだった。何せこのプロダクション、所属しているアイドルの半数近くは学生なのである。もちろん私としても、彼らのスケジュールを学業をおろそかにしないよう慎重に組んではいるのだが、元々勉強が苦手であったりなんだりするアイドルが相応にいて、テスト一か月ぐらいになると空いている時間、事務所で鬼教官からバシバシと鞭を打たれて半ば泣きながら勉強をしている2、3人見る。
「それは私からしたらとても嬉しいんですけど……、えっと御手洗さんはどう思います?」
「えー! 名前さん話振らないでよ! 僕は、今のところいいかなあって、ね冬馬くん、冬馬くん今回のテスト数学やばかったって言ってなかったっけ?」
「な、おま! 翔太だって小テスト三て、」
「ふむ。天ケ瀬君も御手洗君も、数学が苦手なのだな」
硲さんが目を細めると、二人がひい、と私の後ろに隠れた。
「では早速、次の授業の約束をしよう。ジュピターの二人は多忙であるから、効率的に分からない箇所を潰せるようにカリキュラムを組もう。名字くん、二人のスケジュールを教えて欲しい」
「え、えっと」
名前さんたすけて、というか細い声が聞こえる。残念ながら私は、こうなった硲さんを押さえる術を知らないのだ。
20171227