「これはねえ、ミスターやましたと一緒に作ったんだー」
「るいは味見してただけでしょ」
「NO! Tastingだって大切でしょ! ね、名前ちゃん?」
しゃくしゃくとした玉ねぎが美味しい。塩加減が絶妙で、お腹もいっぱいなはずなのに箸が進んでしまう。最初はタッパーいっぱいに詰まったそれも、今やほとんど空っぽである。山下さんが料理がお上手だとは前々から伺ってはいたが、実際に食べてみると衝撃的である。玉ねぎはミスターはざまからだよ、と舞田さんが付け足す。
「マリネに酢豚に、すごいですね……」
「まあ一人暮らしして長いしねえ」
「YES! ミスターやましたの料理はとてもYUMMYなんだ!」
「そろそろ、るいもちゃんと作れるようになりなさいよ」
「えー!」
「舞田さんはお料理されないんですか?」
「するけど、あんまり美味しくないんだよね」
「ねえ、いじゅういん、るいって昔からこうだったの?」
火種が伊集院さんに飛ぶ。先ほどの硲さんの授業云々で、ぜひよろしくお願いします、と笑顔で彼が言ったので、あとの二人の顔と言ったらもうそれは悲壮感に満ち満ちていた。きっと天ケ瀬さんも御手洗さんも伊集院さんが最後の砦だと思ってくっついていたに違いなかったのに。裏で伊集院さんが、俺もと言われなくてほっとしました、と安堵のため息を吐いていたのは言わないでおこう。
「そうですね。昔からマイケルはこんな感じだったかもしれないです。鍋の具材にマシュマロ持ってきたり、とろろ昆布を持ってきたり。とにかく突拍子のないもの組み合わせようとするよね」
「あの時はすごかったね! 見た目がbadだったし、何より味がsooooo terrible! オレも驚いちゃった!」
思わず山下さんと顔を見合わせる。双方はは、と乾いた笑い声しかでない。
20171225