4/30ウィークエンド・ハッピー


 映画と言えばポップコーン、ポップコーンと言えば映画。絶対二人じゃ食べきれないだろうな、と思うサイズのポップコーンと2リットルのジュース。ローテーブルをいつもよりソファにくっつけて、パーティー開きにしたポップコーンと紙コップに注いだジュースに時折手を付けながら、テレビの画面を食い入るように見る男女が二人。テレビの脇には何枚かの積み重なったDVD。あれもこれもと欲張って借りてきてしまったけれど、ようやく折り返し地点だ。
「ハルトさん」
「ん?」
「身内で見てて、キスシーン以上のシーンがあると、少しこう、居心地悪くならない?」
「あー、うん、確かに」
 今彼と見ているのは、近未来SFものの洋画だ。人工知能の技術が発達した未来、離婚によって塞ぎがちになった主人公が人工知能の”彼女”によって心理的に変化していくお話。”彼女”は知識を取り込み思考が人間らしくなるにしたがって、自分に肉体が無いことに思い悩み、そしてその”彼女”を愛していく次第に主人公もまた”彼女”に肉体が無いことに苦悩していく、ただの近未来SFではなくて、骨太の人間ドラマに近いかもしれない。最初の方には身体を重ねるようなシーンもあって、それ自体は素敵だと思ったし、身体がある者とない者が交わるといった意味では表現の仕方で感心させられたのだけど、隣に彼が居るという意味では非常に居心地が悪かった。彼は表情も変えずに見ていたから、そうは思わないのかな、と思ったのだけど、実は私と同じだったらしい。
「なんだろう、……したく、なるよね」
「えっ」
 思わず彼とくっついていた肩や肩を離すようにソファの端っこに寄る。それを見た彼は、そんなに露骨にされると少し傷つくんだけど、と困り顔で言った。
「いや、全部が全部そうなるわけじゃなくて、この映画は主人公が語りかける言葉や表現の仕方が結構生々しくて官能的に感じたし、結構参考になるなって……」
「今日は別々に寝ようね」
「傷つくなあ」

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