5/8 愛してしまったら仕様がない
5月8日 愛してしまったら仕様がない

 例えば穴の開いた靴下を気づかずそのまま使っていたり、もしかしたら気づいていたのかよく分からない。あと自分で選ぶネクタイのセンスが壊滅的だったり。今はもうなくなってきたけれど、自分ひとりの食事はなあなあに済ませがちだったり。本を読んでいる間にうたた寝してぐしゃりと潰してしまったり。ハルトさんにはどこか抜けているところが多々あるように感じるけれど、これが不思議と苛立たないのはたぶん恋は盲目と同じことなのだろうなあ、とたまに思う。普段はきちっとしていてそんな面をおくびにも出さない彼だけれど、そんな隙を私には見せていると思うと、苛立ちより先にとても愛おしく感じてしまうのだ。そんな私も大概だなあ、と苦笑する。
「どうかした?」
「ううん、ハルトさんって可愛いなあって思って」
 ケチャップついてるよ、と彼の口元についた赤いそれを拭った。今日の夕飯は彼が好きなオムライスだ。今まではオムライスなんて半年に一回作るか作らないかだったのに、彼と一緒に暮らし始めてからは一か月に一度くらい作っているような気がする。
「そんなに見られていると食べにくいのだけど……」
「どうぞどうぞ、お気になさらないで」
 肘を付けて向かい側でにこにことしている私に、彼は少し居心地悪そうにスプーンでチキンライスと卵をすくった。出会ったときよりも、スプーンで一口をすくう量が多くなった気がする。大きく口を開いてぱくりと口に含む。あ、またついてる。それに気が付かずにもぐもぐと咀嚼する彼だ。

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