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瀬名は咄嗟に賢木をテレポートで検査室から追い出してしまった。
そして検査着から私服に着替え、慌てて検査室を出る。
「わっ!」
「あっ」
誰かにぶつかる。相手は男性だったようで倒れず、瀬名もまた後ろによろけただけで倒れることはなかった。
「君、大丈夫かい?」
「すみません、急いでたもので…」
顔あげると、目の前には眼鏡をかけた青年が立っていた。
首からはバベル職員を指す名札をかけている。そこにはこうかいてあった。
皆本 光一。
(皆本…光一…?)
不思議そうに見つめていると、瀬名の背後の方向──奥の部屋から少女の声が廊下に響く。
「おーい皆本、早く!」
「今行く!」
思わず瀬名は振り向いて、声の下方を見る。
奥の部屋からひょこっと顔だけ出していたのは、赤いショートへアの女の子だった。
(え…?似てる…??)
少女の名前こそ分からないものの、少女の容姿とこの男性の名前といい…2人とも、予知夢に出てくる人物に少し似ている。
(まさかね…)
「すみません、僕はこれで…」
「あ、あの…すみませんでした、失礼しますっ」
瀬名は青年に軽く頭を下げて、その場をすぐに去った。
そしてそれと入れ違いに、奥の階段から「おーーーい!!」と男性の声が響く。
それは青年…皆本がよく知る人物の声だった。
「この声は…賢木?検査室にいるはずじゃ…」
「おお皆本いいところに!!
今ここを、黒髪のポニーテールの女の子が通らなかったか?年は薫ちゃん達より少し上でナオミちゃんよりは下で、中学生くらいなんだが!」
「何を急に…ん?その子なら、今そこで見たけども、どうしたんだそんなに慌てて」
「よく聞け皆本、チルドレンの他にも国内に超度7のエスパーがいたんだ…!」
「な、何だって…?!」
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